2013年05月27日

最初は魚市場競り人からはじまり、今やネット界の異端児それまでの軌跡 最初は魚市場競り人からはじまり、今やネット界の異端児それまでの軌跡

阿部 賢悟(あべ けんご-39-)

Q1以前の仕事はどんなことをされていたのですか?
 
インターネットのWEBサイトなどを製作するIT関連の仕事を13年間ほど、日本でしていました。
が、その前に一つ、面白い話を。
 
実は、高校卒業後、ゲームセンターのお兄さんをしていました。アルバイトではなくちゃんと正社員としてですが。大学にも行かずにね(笑)。
 
その後、魚市場で競り人をしながら通信制の大学にも通いました。今の業界で元魚屋という人は少ないので、お客様の興味がとれる大きな武器に今はなっています。
仕事そのものはめちゃくちゃな環境ではあったものの非常におもしろかったのですが、その当時、スーパーが産地直送をやり始めたことで流通が大きく変わってきた時代です。つまり市場を通さない形が増えてきたので、先々の衰退を考えて、元気の良い業界で仕事をしたいと思い、転職をしました。
 
 
 
Q2 色々な業種がある中でなぜIT業界を選ばれたのですか?
 
小学校のころからPCを弄るのが好きだったのです。でも本当は好きなことを仕事にするのは嫌だったのです。大好きなことを仕事にしてしまうと嫌な所が見えてきて、好きなものが嫌いになるのが怖かったのです。が、そんなことも言っていられませんでした(笑)。
 
そこでIT業界に来たわけですが、元々は魚屋です。なかなかすぐにはやりたい仕事にはつけませんし、スキルもまるっきり足りていませんでした。正直苦労しました。
そんな中、電話でパソコンのトラブルのサポートをするという仕事に派遣社員という形で就きました。当時はまだ、ウインドウズ95の時代です。マッキントッシュを使っていた私はウィンドウズを使ったことが全く無かったのです。左下にあるスタートボタンも、“何かがスタートしてしまいそう、、、”と怖くて隣の人に押してもよいかを聞いてしまうくらいのレベルです。
がむしゃらに勉強するしかない状態になりました。悔しくて、会社帰りにPCを購入して持ち歩き、一生懸命勉強しました。数週間、数ヶ月と経つと少しずつ知識がついてきて、お客様からも信頼していただけるようになりました。本当に完全に独学でPCを勉強しましたよ。 
遊ぶ時間も削りたくないので、寝る時間を削っていました。一日だいたい4時間寝ればなんとかなるという自分なりのペースがつかめて、今でも同じような生活をしています。
 
 
 
Q3 ベトナムに来たきっかけは何ですか?
 
2007年に仕事でたまたま視察に行ったのがきっかけでした。
 
まずはご飯がおいしいというところが好印象。街にもくり出したのですが、その時に見た人たちの笑顔が素晴しくとても印象的だったのです。インドや中国、韓国にも仕事をしにいきましたが、かなり違う印象を感じました。
その時に「ここでこの人達と仕事をしていきながら、10年後のベトナムのITの発展に寄与できるんじゃないかな? おもしろいことができるんじゃないかな?」と感じ、土地柄や人柄を気に入ったこともあり、こちらでやって行きたいという想いが強くなりました。
しかし、実際に仕事となると、みなさんご存知の通りとても大変です。思い通りにはまったくいきません。報告連絡相談が一切ない。良かれと思って暴走的に手を入れてしまうものだから収集がつかない。基本的には良い人たちなのに、どうしたらいいんだろう?と4年間、悩みました。
最終的にこれはベトナム現地でベトナム人としっかり向き合って一緒にやっていかないといけないなと思い、2011年にベトナムに移り住む事になりました。
 
 
 
Q4 ベトナムでのビジョンを教えてください。また、ベトナム人をマネージメントする際に気をつけていることを教えていただけますか?
 
今現在、日本からいただくソフトウェア開発の案件が売上の80%ほどになっています。
これは日本国内ではエンジニアの単価が高くなりすぎて合わないから、です。ということは、ベトナムでも当然、今後の賃金アップにあわせて仕事が取りにくいものになっていくということです。中国が実際にそういう状況になり、今、ベトナムが元気になってきているわけですから。
その時でも日本からご発注いただける、満足していただける体制を作るというのも当たり前のこと
ですが、その時にもう1つ、面白いことをしていたいと思っています。
ベトナム人の賃金が上がるということはみんなの生活水準が上がるということです。
その時には当然、インターネットやスマートフォンを使った新しいサービスをみんなが使うようになっているはず。僕達は日本からの開発案件を対応させていただく中で少しずつスキルアップをしているはずです。そのスキルを使って、ベトナムのインターネット市場で面白い仕掛けをして行きたい、というのが夢としてあります。ありがたいことに異業種の友達も多いので、ITに限らず、いろいろな分野で挑戦をしていきたいと思っています。
 
マネージメントの話ですが、ベトナム人の気質として”報告連絡相談ができない”、”良かれと思って勝手に暴走する”、”追い詰めると反撃がすさまじいことになる”というのがあるかと思っています。これは日本人にはない特徴だと思います。
 
報告連絡相談ができないなら、ズケズケと彼らの仕事に踏み込んでみる、そこで暴走を止める、そうすることで追い詰めることがないようにする、というのを心がけています。
何度か繰り返す中で僕が求めていることはわかってくれるようになるので、そうすると徐々に手を離していけるのです。油断は禁物ですが。相手は同じ人間です。プライドもある(けっこう高い。。。)。だから相手の立場も考えながら全力で、本気でぶつかり合うようにしています。
 
採用の面で言うと、彼らは自信満々で、すさまじい経歴の書かれた履歴書を持ってくるというのも面白い特徴です。いくらなんでもこれはないでしょうが。。。というのが多いのでそれをどう見極めるのか、というのが大変でした。こういうことはできますか?と聞けば、90%以上の確率で、「はいできます!」と答えます。そして、やってみるとできない人が98%。日本でもよくある話ですが、ここまで%は高くありません。これでは手当たり次第にやっていては先に進めなくなります。
弊社ではありがたいことに絶対的に信頼出来る、柱となってくれるベトナム人エンジニアが2名います。彼らが紹介してくる人というのは良い人である確率が高いです。信頼出来るスタッフがいれば、その人のコネクションを使って採用活動をするというのが良いと僕は思います。
もちろんその場合も100%ではないし、ダメだったからといっても紹介してくれた人のせいにすべきではありません。当然、試用期間は設けて、ちゃんと仕事ができる人なのかはチェックしています。
 
ベトナムネット界のパイオニア
 
 
Q5働く上で大事にしているポイントなどはありますか?働くとはどういうことですか?
 
実は、日本で働いている時にうつ病の一歩手前までいき、一ヶ月全く仕事が手につかなかったことがあったのです。そこで「何が自分の心を壊してしまったのかな?
と真剣に考えたことがあります。
 
お金も大切ですが、”義理人情”、”お客様にとっての最良を目指す“、”はっきりという“というのが自分の中で譲れないものだということがなんとなく見えました。義理人情って、ヤクザ映画みたいな話ですが。(笑)
 
裏切るような形でお金を得る、というのは絶対にやりませんし、お客様からのオーダーであってもお客様にとってよくないことだと思えばはっきりいいます。お客様はその業務のプロであって、システムのプロではありません。僕達はシステム開発のプロとしてお金をもらっているわけですから、オーダーどおりに作ったからいいじゃないか、ということではないと思うんです。
お客様の業務を理解させていただき、よりよい形を提案させていただくのが僕達の仕事です。
 
下請会社のくせに生意気な、と、取られる方もいらっしゃるかと思います。そこで我慢をしていたから僕は心が折れかけましたし、結果的にはお客様にとっても良い仕事にはならないと思っています。言いたいことはズケズケと笑顔で。ただし、お客様のご要望を否定する時はその数倍良いプランを言わなければいけないという責任もちゃんと果たす。これが仕事をする上で一番大切なことだと思っています。必死ですよ、話をしながら良いプランを考えて、その場で話をしないといけないんですから。
 
 
 
Q6これからのベトナムに来る人にアドバイスなど何かメッセージはありますか?
 
せっかく海外に来て働くなら、おとなしくしててもしょうがないんじゃないでしょうか。やりたいことや、自己主張をしっかりとして突き進んでほしいと思います。
 
でも気をつけなくてはいけないこともあります。ここは日本ではありません。ベトナムですから、日本人の常識だけではどうにもなりません。”ありえないだろ?”ということがたくさんあるわけです。好みの問題も日本とは大きく違います。日本で流行っているものが100%流行るわけではありません。
 
我々日本人にとってベトナムはアウェイです。そのことを忘れないで、こっちの現地の人々とも仲良く、うまくタッグを組み仕事を進めていって欲しいですね。現地に溶け込み、色んなものを吸収しながら仲良くしていってほしいです。
 
今ベトナムにないものをなにか始めるという場合、特に難しいと思いますよ。
日本人が考えてもベトナム人の好みはわからない。ベトナム人に聞いてもここにないからわからない。
人の意見をいろいろ聞きながら学び、決断は自分でする。考えても考えても100%の答えなんかないわけですから、走るしかないわけですし、走りながら修正をしなければならない。勇気はいりますが、それもまた、面白いじゃないかと思っています。
 
それと現地のみんなとのコミュニケーションは言葉の問題じゃなく、気持ちの問題だと僕は思います。言葉が通じなくても仲良くなれますし、仲良くなったら会話をしたくなりますから、単語1つずつでも覚えていけばいいのではないかな?と思います。僕はベトナム語を覚える前に1曲だけ、ベトナム語の曲を覚えました。MP3をiPhoneに入れ、歌詞を見ながらずーっと練習し、みんなでカラオケに行った時に突然、歌ってみました。みんなびっくりしましたが、“歌詞の意味もわからずに歌っている”というのを知って、さらにびっくり。そこから仲良くなったのが最初です。
 
コミュニケーションは相手を楽しますことが基本だとぼくは思うので、あまり固く考えず、ふざけて考えてみたら良いのじゃないかな?と思いますよ。挨拶をベトナム語でいうのも大事かもしれませんが、わけのわからない単語をいきなり発するという方がお互いにとっつきやすくなるのじゃないでしょうか。
 
せっかくきたベトナム、どうせならおもいっきり異文化交流を楽しんでもらって、ベトナム好きになってもらいたいです。
 
ベトナムネット界のパイオニア

プロフィール

お名前 : ベトナムネット界のパイオニア