2014年07月17日

Park Hyatt Saigon ジェネラルマネージャー  Park Hyatt Saigon ジェネラルマネージャー 

パークハイアットサイゴン ジェネラルマネージャー

ヤン・ヘンドリック・ミーディンガー氏インタビュー

『今日、人々はどんどん発展を望むようになっています。これは社会にとって大きな問題です。大勢の若者たちは、確かな基盤も無いのに、現在の知識のみに基づいて様々な判断を下すのです。何をするにしても、基盤をしっかりさせなければなりません。もしそうしないのであれば、後々ツケが回って来てしまいますから。』

ヤン・ヘンドリック・ミーディンガー氏、2014年3月よりパークハイアットサイゴンのジェネラルマネージャーを務める彼は、ポステの最新インタビューの中で、若い世代へのアドバイスとしてこのように話してくれた。

Q1:

なぜホテルサービス業について学び、仕事にしようと思ったのですか?

A1:

実際、学んでから関わり始めたと言うよりは、働いてから勉強したという感じです。

ドイツでは、正式に仕事に就く前に、インターンシップをしなければなりません。2年から3年続けるんですよ。私もそうでした。学ぶ前に、実際に働きました。

ものすごく単純ですが、今この業界で働いているのは祖父のおかげですね。私が16歳の時に、祖父は私に、将来お前がホテルで働いているのが想像できると言ったんですよ、それがきっかけなんです。

高校1年生のとき、1週間学校の外で働くというプログラムがあったんですが、私はある出版社に行きました。祖父が編集長として働いていた新聞社があったんです。

インターンシップ期間が終わり、祖父は私に仕事はどうだったか尋ねてきましたが、私は全然好きじゃなかったよと答えました。それ以来、お前はホテルで働くんだろうと言うようになったのですが、私は、祖父は正しいと思っていましたし、実際に正しかったですね。そういうわけで今ホテル業界で働いています。

Q2:

パークハイアットのジェネラルマネージャーになるまでの道のりはどういったものでしたか?また、ホテル業界で働き始めた頃と比べてどうですか?

A2:

どうですかと聞かれると、やはり非常に面白いですね。この業界で働くには少しクレイジーでいなければなりません。

ハンブルクのホテル・フィア・ヤーレスツァイテンでインターンシップをしました。建物は古く、回転ドアが付いていました。

うちのホテルの回転ドアは手で押すタイプでした。6ヵ月間、毎日8時間、ドアを押し続けるんです。面白いでしょう。ここが私たちの原点になっています。そして、『インターン生』は全ての部門を経験しなければならなかったので、レストランやバーのウェイターもやりました。12週間オレンジを絞り続けましたよ。

その時からそのホテルに勤め続け、そこではナイトマネージャーになり、そして、イギリスに留学しました。サリー大学という大学で、ロンドン郊外の小さな町にあります。

そこで3年間ホテルマネジメントについて学びました。その後、ロンドンにはランドマークホテルという素晴らしいホテルがありましてね…そこで働きました。レセプションマネージャーでしたね。

妻の話をしますが、出会いは94年で、そのランドマークホテルでした。97年に彼女が香港に1年行ってしまって。私は大学を卒業して、香港を訪れました。そうしたら、グランドハイアットホンコンがあるんですが、もう首ったけになってしまいました。ロビーに降りて行ってここで働かせてくれと言いましたよ。

そしてホテルに電話して、3人のジェネラルマネージャー、1人の人事に会うことができました。グランドハイアットホンコンのジェネラルマネージャーにもお会いしました。1時間お話をさせて頂いて…優しい方でした。

我々のアジア地区ヘッドオフィスは香港です。そこで私は人事に連絡しました。そしたら仕事をくれてね。でも、覚えていますか?97年、98年あたりのアジアは通貨危機だったでしょう。香港もやられましたよ、もう新しい人材は雇えない、と言われてしまいました。

でもその時はまだロンドンで、ランドマークホテルで仕事をしていました。

そうしたらメールが来たんです。グランドハイアットから「仕事があるよ』というメールでした。

面接を受けてその後はいったん家に帰りましたが、香港に移って1ヵ月後には仕事が始まりました。こうして、ハイアットでのキャリアがスタートしたんです。99年の12月のことでした。

香港のグランドハイアットには6年半務めて、ルームディビジョンを担当しました。台北のハイアットでも働きました。レジデントマネージャーと言って、ジェネラルマネージャーの下、ホテルのナンバー2でした。そして、グアムでは、ジェネラルマネージャーをやらせていただきました。

Q3:

1番の困難はどういったことでしたか?また、それをどのように乗り越えましたか?

 

A3:

それが本当に無いんですよ。私は困難を困難だと思わずに、挑戦だと捉えて、楽しんでいます。私は、人が本当に何か学べる機会というのは、文化的な体験に基づくと思っているんです。

文化を知らないという点から、間違いを犯したことはあります。そして多くの人にも迷惑を掛けてしまって、混乱させてしまって。しかし、私はそこから学べるのです。成功の鍵は個々の文化を理解することだと思いました。

香港はそんなにすぐに目に見えてくる街ではありません。

日本に行って日本語を話せなければ困ったことになります。ですが、香港では、広東語を話す必要はありません。タクシーも、5つの広東語さえ知っていれば乗れますし。ですから、自分が外国人であると言うことを忘れ、文化の違いへの意識が薄れていきました。

みんなフレンドリーです、香港人は。私は言葉もできないのに、皆が親しくしてくれて、私を好いてくれ、言うことを聞いてくれていると思っていました。ただ、皆が私を好きではなく、指示も通らないと気付いてしまってからは、とてもやり辛くなりました。この時ばかりは尻込みしてしまいました。本当に痛い思いをしました。しかし、それが困難だったとは思いません。異国の地で外国人として生きていくためには必要なことだったのです。困難だとは思いません。

 

このことを考えると、何かを諦めなければいけないとわかります。

海外で暮らす時、家族と離れて暮らさなければならないと気付くでしょう。もしかしたらこれが一番辛いことかもしれません。甥っ子たちの成長も見られません。

やはり一番辛いところかもしれませんね、一緒に育った家族と離れて暮らすと言うことは。

Q4:

働く上で、ご自身の大切なルールは何かありますか?

A4:

楽しむことです、本当に、人生はとても短いですから、何事も生真面目に捉えてばかりではいけません。私は自分自身のことも重たく受け止めてはいません(誰にも言わないでくださいね。(笑))。私が学んだ最も重要なことは、人との関わり方です。

従業員、オーナー、目上のゲスト…皆、気にかけてあげるべきなのです。丁寧におもてなしをすること、これだけが私自身の重要なルールであり、最も大切なことです。

そう、これこそが、丁寧なサービスを心がけることが、先ほど言った、ホテリアーが少しクレイジーであるべき部分です。もてなせるようにならなければいけないんですから。

私が若い人々の面接をするとき、彼らは聞いて来るんです。私はこの仕事をするべきなのでしょうか?とね。

家でテーブルを拭きますか?食事を運びますか?と私は聞きます。

なぜこういう質問をするかというと、もししないなら、好きでないなら、この業界は合っていないでしょうということなんです。

家族へのもてなしもできないなら、見ず知らずの人にできるわけがありませんよね。ホテルの仕事では、相手がだれであろうがおもてなしをしなければなりませんから。

全ては気にかけてあげることなのです。あと、楽しむこと。

何事も重大に捉えすぎないと言うのは…?

いえいえ、そういう意味じゃありません。やはり仕事は仕事ですから、真剣に捉えざるを得ません。

ですが、自分自身には生真面目に真剣に向き合いすぎなくて良いということです。いつでも。楽しまなければ。チームメンバーとの仕事中でも、外に出ているときでも、楽しむと言うことは非常に重要なことなんです。自分がやっていることは、何でも楽しんでいなければ。

Q5:

このように長い間、パークハイアットで働きたいと思われた1番の魅力はどういったものでしょう?

A5:

完璧な会社など無いのです。どの会社にも良い点と悪い点があります。それは個人的なもので、例えばあなたにとっては好ましい部分でも、ある人にとっては不都合なことかもしれない。

ポジティブでいる限り、ネガティブでいるより常に勝っています。その状態が良いんです。もしこれが逆になったら、崩れたバランスを元に戻すため何かをしなければなりません。または、そこを離れるか。やはり、私にとってはポジティブであることが全てなんです。

私は会社にたくさん友人がおりますが、異動になれば彼らをそこに残して行くことになります。しかし、その後はまた新しい出会いがあります。素晴らしいことですね。

うちの会社もおもてなしが好きで、友人や家族に重きを置いています。そして、最も重要なことは、いつでもより良い状況を目指して物事に取り組むことです。私個人もいつもそういう姿勢で物事に取り組みます。両者がそういう状態であると言うのはかなり良いです。

最後に、なぜ私がこの仕事をしているかですね。

では、あなたが今の仕事をしているのはなぜですか?これは個人によって千差万別です。私たちは皆ちゃんと理由があって、それに最適な仕事を選びます。会社は環境を与えてくれます、私たちがやりたいことをできるような。

私の会社でしたら、人材を育成することが好きです。私が働く上で最も良く見て来たものは、チームメンバーの成長です。今とは違う人間になる人、昇進する人、他の勤務地へ移る人、他のチャンスを掴む人。

私はグアムを離れる際、ホテルではナンバー2の役職に就いていました。もちろん今までで1番大きな昇進でした。

私は、誰かの人生に関わることができたんです。それはキャリアか、お金か、時間か、場所か…何であれ、誰かのゴール到達を応援することができたのだと思っています。ハイアットではそういうことをしています。

Q6:

現在、新ジェネラルマネージャーに就任なさいましたが、ご自身の個性がパークハイアットサイゴンに反映されると思われますか?

A6:

人は皆、自身がいるその場に影響を与えてしまうものだと思っております。そう、私は自分が上手くできることは何かをわかっています。だから、やるべきことをやり、その場に良い影響を与えるような行為を心がけています。

ですが、人が一定の場所に留まる期間より、物事は長く続きますから、人々の個性はその環境の一部分となり反映されるのは自然ですし、そうであってほしいと思っています。

Q7:

そうしますと、これからはどうなると思われますか?ご自身がパークハイアットサイゴンに与えられる影響としては、何が一番際立つものになるでしょう?

Q7

思いやり、であってほしいと思います。私にとってはものすごく大切なことでね。

パークハイアットサイゴンはハイアットの中でも成功しているホテルでして、組んでいるチームも9年と歴が長いです。

ベトナムのホテルでもトップクラスだと思っております。ベトナム一だ、とおっしゃってくださるお客様もいらっしゃるんですよ。

それを、皆様に広めたい。ベトナム中に、アジア中に広めたいと思っています。

簡単なことです。日本の方は皆お気に入りのレストランがあるでしょう…そして、そこに行きますよね。

行く前はワクワクしますね、でも、あなたが得ることのできる物は?

(インタビュアー): 食べ物ですか?

どれぐらい持ちますか?次にお腹が空くのはいつでしょう?2~3時間ですよね。

シェフについて考えてみてください。すごいですよ、なってみたいものです。あなたをわくわくさせて、レストランまで足を運ぶ気にさせて、お金を使わせるんですよ。あなたに残るのはレシートだけなのに。

そしてもう一つ、幸せな気持ちです。

買い物に出かけた時のように、ハンドバッグは無い、靴も無い、その絵すら無い。

でも家に帰った時、あなたは幸せなんです。何も無くても、思い出はある。それが、私たちの仕事です。私たちは思い出創りをお手伝いしています。私は、ホテルが魔法を生み出せるように、お客様を幸せにする、純粋で夢に満ちた思い出を創れるようにと、努めるつもりです。

お客様が家に帰った時、手元に形のある物は残りません。レシートのみです。きっとおっしゃるでしょう。「おぉ、こんなに使ってしまった。でもそんなことは置いといて、また泊まりなぁ。良いホテルだったなぁ。」なんて。

それとは別に、私たちは、社会において今とはまた違った役割を担いたいと思っています。

パゴダに行ったのですが、パゴダの中の孤児院に。何か、恩返しをしようとしました。思いやりについて考え、私たちのチームは長い時間をそこで過ごしました。

何か違うことはできるかなと思って。私たちが社会に恩返しできることは何か無いかとね。

Q8:

現在の到達点において、今後のキャリア、または人生の仕事以外の部分への展望はどういったものでしょうか。

A8:

いやいや、私はまだ到着したばかりですよ。(笑)

人生の到達点というのは、個々人がどういった位置にいたのか、どれほど幸せだったのかというところによると思います。

 

子どもができると、人生は変わります。うちの子は5歳と7歳なんですが、出来る限り彼らと一緒に過ごし、成長するのを見届けるのです。

将来私がどういう地位に就きたいかなど、私は考えません。私は運命を信じていますから、それに従って、起こることは起こります。

私は16歳の時からホテルのジェネラルマネージャーを夢見ていましたし、重要なことでした。ですが、今、自身に私はこのポジションに就くべきだったんだ、などとは言いません。ただのポジションですから。なることができる、最良の自分になりたいと思っています。そういう風に、自分自身を満たしたいと思いますが、私には家族もいます。彼らと共にまた別の人生を歩みたいと思います。

 

繰り返しますが、人生は本当に短いです。楽しまなければ。人生を振り返って、あぁ、あれをやりたかった、これをやりたかった、などと言いたくありません。

私にとって、子どもと過ごす時間、家族と過ごす時間、子どもを育てる時間、これらは非常に重要で、同時に私を満たしてくれるものです。私は野心に溢れていないというわけではなく…家が大好きなんです。

 

Q9:

職種は問いませんが、成功を夢見る若い世代に向けて、何かアドバイスはありますか?

 

A9:

今日の先進機器のおかげで、今の子どもや若者たちは昔とはずいぶん違っています。我慢強さがどんどん無くなっていると思うんです。

ここだけでなく、他のホテルでも従業員を大勢抱えていましたが、すぐに、昇進できない昇進できないと不平を漏らす人たちがいました。彼らは実際仕事のことを良くわかっていないのです。つまり、強固な基盤が無いから、列から逸れてしまったんです。

 

最大のアドバイスは、基盤をしっかり、と言うことです。繰り返しになりますが、私たちの仕事はとてもシンプルです。おもてなし、それに尽きます。ただ、シンプルだけど、難しい。時間をかけて、正しい基盤を得る必要があります。そうすると、将来返って来るのです。

 

人々がどんどんさらなる発展を望むようになっているということ、これは社会にとって非常に大きな問題です。溢れる情報の全てが正しいとは限りません。そういった状況で判断をするということには、リスクを伴います。若い人たち、まだしっかりした基盤を持っていない人たちが、自分の考えや、持っている知識だけに頼って何か判断をする。

ここで私がアドバイスできることは、何をするにも基盤を固めてから、ということです。何をするにも、です。もしそうしなければ、将来失敗しかねませんからね。

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