2014年02月16日

伊藤博重 JALベトナム支店長 インタビュー 10.02.2014 伊藤博重 JALベトナム支店長 インタビュー 10.02.2014

JALベトナム支店長

・JAL入社までの経歴
大学卒業後に京王電鉄に入社しました。当時はバブルの真っただ中でしたが正直、鉄道業界は地味な業界でした(笑)。
当時は若かったですし、もっとチャレンジしたいという思いで航空業界へ転職しました。航空業界には漠然と華やかなイメージを持っていました。
30歳の時に日本エアシステム(JAS)に転職が決まり、2002年の統合でJALへ。
それからは国際線の営業部門で働き、2005年に静岡支店長、2010年からホーチミン、そして2011年からはハノイで勤務しています。 
 
・ベトナムと日本の違い
最近、こんなことがありました。
とても良く働く優秀なベトナム人社員がいて、目をかけていました。ある日面談で「今後はどういう希望を持っているの?ずっとJALで働いてくれるの?」と問いかけたところ、「分からない。ベトナム人は明日のこと考えないよ」と言われました。日本人であれば「一生JALで頑張ります!」「JALの為に働きたいと思っています!」とか、本心で思っていなくても上司に対しては自分のやる気をアピールするところでしょう(笑)。良く言えば素直で嘘をつかない、正直であるとも言えるのですが、将来の事より今をどう生きるかにフォーカスしている点は日本との違いを感じます。
全体的に、チームより個を大事にする傾向を感じます。日本人の感覚で言う「燃える集団」などチームワーク的な考え方を理解してもらうのは大変だと思います。
 
感覚の格差をなくすための努力はどんなことをされていますか?
毎朝、稲盛名誉会長の考えをJAL社員向けに纏めた「JALフィロソフィー」の勉強会を実施しています。そこでは働く意味や仕事のやりがい、幸せな人生とは何かなどについて話し合い、仕事に限らず人生を豊かにするには、どうあるべきかを一緒になって話し合っています。
 
・ベトナム人と接する上で大切なこと、気をつけることは?
相手の歴史、文化、習慣を尊敬、尊重して接することではないでしょうか。
ザップ将軍は国民みんなが尊敬していて、亡くなられた時に、突然、うちのスタッフがザップ将軍はいかに素晴らしい人だったかを話始めたのですが、私もザップ将軍について調べたりして相手が大事にしていることを尊敬、尊重することを心がけています。
 
・ベトナム在住当時を振り返り、こうすれば良かったと思うことはありますか?
ベトナム語をもっと勉強するべきでした。ベトナムに来て3年半ですがベトナム語はほとんど喋れません。先日、同時期にベトナムに赴任した友人と久しぶりにゴルフに出かけたのですが、その人はベトナム語でキャディーと楽しげに話していたんです。ベトナム語を話せればもっとこちらでの生活が楽しくなるんだなあと痛感しました。 
私は赴任直後にベトナム語習得は無理だと諦めてしまいましたが、今になって後悔しています。これから赴任される方には無理だと決めつけずに頑張って欲しいです。私自身、今からでも遅くないので勉強して少しでも喋りたいと思ってます。
 
・絶体絶命のピンチ、またそれをどう乗り越えましたか?
「馬鹿野郎、諦めるな。」という上司からの言葉は今の自分の支えでもあり、次の世代へ受け継ぎたい言葉でもあります。
10年ほど前、GWにオーストラリアのエアーズロックにチャーター機を飛ばす計画を立てました。しかし直前になってもトーイングカー(離陸前に飛行機を引っ張る特殊な車両)を用意出来ず、チャーター機を飛ばせない状態だったんです。購入するにしてもすぐには手に入らないし、正直もう無理だと諦めかけていたんです。でも当時の上司に「馬鹿野郎、諦めるな」と言われました。「そんなこと言われても無理なものは無理だ。」と思ってしまいました。結局、同僚の助けもあり何とか借りることが出来て、飛ばすことができました。そのチャーター機に添乗して行きましたが、着陸した時の感動は忘れられません。諦めようとしていた自分の弱さを痛感するとともに、諦めなければ何とかなるということをこの上司から教わりました。決めた目標に向かって諦めない。今でも強く心に残っています。 
 
・人生の転機や出会いは何でしたか?
先の話の上司に言われた「諦めるな」の一言がターニングポイントになったと思います。
あれ以降、何が起こってもどうにかなる、自分ならやれると思えるようになりました。
「切りぬけろ」と言われた、その時の経験が自信になっています。
もうひとつは、25歳の時、後輩に「伊藤さん、ぐずぐず悩んだらダメです。やらずに後悔するなら、やってから後悔しましょう。」と言われまして。はあーなるほど、と(笑)。結果を恐れて事を起こさないのは最も良くないことですよね。自分で一歩踏み出さなければ何も得られないと。とても腑に落ちまして、その後は何事も積極的に取り組むようになりました。
最近、息子の就職活動で色々相談を受けましたが、最終的に伝えたのは、「どの会社に就職しても後悔だけはするな。後悔しない会社を選べ。」ということでした。
 
・ベトナムでのストレス解消法
自分はストレスのコントロールをするのがうまい方だと思うんですよね(笑)。溜め込まないんです。
一つあるとしたら料理ですかね。静岡の単身赴任時代から始めました。自分の料理を「うまい!」と声に出して食べてます(笑)。料理以外は、事あるごとに、自分は幸せだなあと感じることを心がけていますね。
 
・これからのプランや挑戦
JALの今後の目標は「世界一愛される航空会社になる」ということです。
これは現社長の植木が社長就任会見で述べた目標ですが、彼はいつもこの言葉を口にします。「私の目標は日本航空が世界で一番愛される航空会社になることです」と。
航空会社が携わるのは旅行の中で移動の空間だけですが、お客様の旅行が楽しいものになるように、機内という日常と違う空間を楽しんでいただくお手伝いをしたいと思っています。
JALは最近、新たな取り組みを始めています。快適な移動空間を提供する為、座席の更新、機内食の見直し、さらに、MOOOOOVE!!をコンセプトに機内エンターテイメントを一新しました。
それと機内食の安全強化です。今までは機内食を作る会社独自の基準でしたが、現在はJAL独自のマニュアルと専門チームを新たに配置し、異物の混入防止、衛生基準の順守など、機内食を安心して召し上がっていただくための対策を強化しています。先日もハノイに専門チームが来て、指導していきましたが、私もここまで細部にこだわっているのかと感心しました。
 
今後も皆様に愛される航空会社になるよう努力して参ります。
引き続き日本航空をご利用くださいますようお願いいたします。
 
伊藤博重

プロフィール

お名前 : 伊藤博重