ベトナムの自転車タクシー業、衰退か

2017年06月12日(月)00時00分 公開
ベトナムの自転車タクシー業、衰退か

シクロ(自転車タクシー)はベトナムの歴史において欠かせないものである。しかし現在、社会におけるシクロの重要性は薄れ始めている。

 「私はこの業界で40年以上働き、今年65歳になった」

 小柄だがたくましい体躯を持つシクロ運転手は、自分の人生に満足しているようだ。 「私はDong Khoi通りの近くで育った。 戦前は旧政府に勤めていたが、戦後は教育キャンプで6〜7ヶ月を過ごした」とThanh氏は語った。キャンプを出てから仕事を見つけることができず、シクロを買ってきた。

 戦後数年後、ベトナムは米国から禁輸措置を受け、世界で孤立した。

当時、乗用車やバイクはほとんど輸入されておらず、シクロはベトナム社会において、主要な移動手段となった。

「セ・オム(バイクタクシー)やタクシーはなかった。バス・ネットワークはとても貧弱で、誰もがシクロを使っていた。その頃、私はたくさんのお金を稼いだ」とThanh氏は語った。

1日に9〜10人の乗客を得て、今日の約1,00万ドンに相当する1千ドンの収入があったという。他のシクロ運転手と同様に、Thanh氏は市内に物資も運んだ。 「今まで運んできた物のうちで最も変わっていたのは木の枝だった」と彼は笑った。

現在、1時間の個人シクロ・ツアーは20万ドンかかる。ほとんどのシクロ運転手は観光地の地図を持ち、出発前に顧客と代金とルートについて話し合う。今、フリーランスのシクロは見つけにくいだろう。シクロを利用する必要性がほとんどない上、2016年の詐欺事件の後、観光客は用心深くなっているからだ。

 サイクロ業を活発にしようとし、海外からの顧客を新たに惹きつけようと、多くのツアー会社がシクロ・ツアーを開始している。通常、1~2人の仲介人と連絡をして運転手を派遣する。 40年以上にわたってシクロの運転手を務めたSon氏はその中の一人だ。

「会社は私の電話番号しか持ってないが、私は他の運転手全員の電話番号を持っている。私に電話すれば、もっと簡単に運転手を手配できる」と彼は述べた。彼の会社はリーズナブルで公正な料金を設定しているので、地元のツアー会社の間で評判が良い。

シクロがますます稀となってきている社会では、この新しいシクロ・ツアーの流通は、シクロ運転手の平均収入を増やし、衰退しているシクロ業界を救う一助となっているようだ。

  「多くの外国人はフリーランスの運転手を信用せず、彼らと交渉するのを面倒に思うので、シクロ運転手が仕事を見つけるのは難しいかもしれない。 私たちは彼らの就業を助け、または顧客に安全で信頼できる体験を保証したい」とキム旅行企業のセールス管理者であるAnnie氏は述べた。

  今のところ彼らには仕事があるが、その需要は少なく、年を経るにつれて運転手が減っていく。文化のシンボルか、あるいは単に過去のものになったのか。一つの疑問が残る。「 シクロ運転手は1年後、どこにいるのだろう?」

wordvietnam.com

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