2017年07月12日

資金調達を行う際の注意点2

 日系企業様のベトナム法人設立後の資金調達方法について、前回は親子ローンの概要についてご説明いたしました。親子ローンは借入期間により、「短期」と「長期」に分かれることとなります。その中で「長期」親子ローンについては事前に中央銀行の承認が必要となりますので、本稿ではその手続きの流れと注意すべき点を解説して参ります。
 

1.中央銀行への事前承認

 海外からのローン契約及び返済に関する実務指針09 /2004/TT-NHNN(以下、「実務指針09 /2004/TT-NHNN」)により、借入期間が1年超の海外からのローンやファイナンス・リース取引等は、中央銀行の承認取得が必要であるとされています。

 当該承認は、ライセンス記載の総投資額と定款資本金の差額(以下、「借入限度額」)内の金額についてのみ行われます。
 

2.長期親子ローンのスケジューリング

 新規の長期親子ローンを実行する場合、ローン契約締結日後30営業日以内に中央銀行へ承認取得申請をしなければなりません。(為替取引に関する届出手続きを簡略化する実務指針25/2011/TTNHNN(以下、「実務指針25/2011/TT-NHNN」))当該申請は約15営業日を要し、当該承認取得完了後でなければ親子ローン実行ができないとされています。そのため、書類の準備期間も考慮すると、親子ローン実施の2ヶ月程前から準備開始される事をお勧め致します。

 なお、定款資本金が全額振込済みであること、及び、長期ローンの金額の合計が、借入限度額を上回らないこと、投資ライセンスの事業活動期間が十分であるかを事前に検討することをお勧め致します。仮に、予定している親子ローン金額が、長期借入限度額を上回る場合や、借入期間がライセンスの事業期間を上回る場合などは、事前に投資ライセンス変更が必要となります。当該ライセンス変更には約2ヶ月間かかるため留意が必要となります。
 

3.承認取得申請に必要な書類

 長期親子ローン登録には、下記の書類が必要とされています。中央銀行によっては、下記以外にも個別の書類を要求されるケースがございますのでご留意くださいませ。

1)長期親子ローン承認申請書

2)親子ローン契約書

3)元本及び利子の返済計画書

4)直近監査報告書或いは直近貸借対照表(外資企業のみ)

5)資本口座開設証明書(外資企業のみ)

6)投資ライセンスの公証コピー(外資企業のみ)

7)その他(必要に応じて)
 

4.中央銀行の承認後(実行後)、その経過報告義務:四半期ごと

 承認取得後は当該長期ローンを完済するまで、継続的に、金利と元本の支払い状況を各四半期の末日から7日を経過するまでに報告しなければなりません。
 

5.登録内容の修正・変更:30日以内の申請(事前準備)

 長期ローンの契約内容を変更する場合、当該変更に係る付録書を締結してから30営業日以内に中央銀行に変更承認を申請しなければなりません。

 ローン金利や返済期限を変更する場合、当該変更に係る返済計画書も併せて作成が必要になります。また、当該変更の承認申請にも15営業日かかるため、十分な注意が必要となります。
 

6.長期ローンに係る罰則等

 前述のとおり、長期ローンの承認申請は、ローン実行前に行わなければなりません。また、本口座を開設した銀行に中央銀行から発行された承認書を提出した後に、ローン実行となります。これらの規定に違反した場合は、1,000万ドン以上2,000万ドン以下の罰金が課せられるとされていますのでご留意下さい。

 以上、長期親子ローンについての手続き及び注意すべき点を解説して参りました。全体的に余裕を持ったスケジューリングと金融機関様、各種専門家との連携を密にとって手続を進められることをお勧めいたします。

石川幸

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