2017年07月12日

資金調達を行う際の注意点3

 日系企業様のベトナム法人設立後の資金調達方法について、前回は「長期」親子ローンの概要についてご説明いたしました。

 今回は返済義務のある借入ではなく、返済義務のない「増資」について取り上げることとします。「増資」は投資ライセンスの変更を伴いますので、本稿ではその手続きの流れと注意すべき点を解説して参ります。

 

1. 増資を行う動機と方法

 日系企業 様が資本金増加を行う動機としては下記の様な場合が挙げられます。

1、設立費用や初期投資が予想以上にかかり、初期の資本金や借入では資金的に賄いきれない場合など、追加で安定的な資金を調達したい場合。

2、ビジネスが順調に拡大し、工場などを拡張するために資金が必要な場合。

3、設立当初はローカル法人(ベトナム資本)で会社を設立したものの、日本側の資本を入れて外資化を行いたい場合

4、株主の追加を行いたい場合:なお、もし一人有限会社(出資者1名)が第三者からの出資を引き受ける場合は、二人以上有限会社への組織変更も同時に伴います。

 資本金増加(増資)の払込方法は、原則として、当該法人の銀行口座(資本金口座)へ金員での払込となります。制度上は現物出資も法令上認められておりますが、現物出資についての定款変更から検討が必要となります。また、当該出資される現物が輸入機械の場合の価値は、通関申告書等に基づき評価されます(増資手続上は先に増資申請をした後でありますから平仄が取れないケースも出てくる懸念があります)。また、現物出資が行われた事実の説明について書面作成も必要となります。

 

2.増資のスケジューリング

 増資を行う場合は、増資分の資本金を送金する前に投資ライセンスの資本金の変更手続を完了する必要がございます。通常、日系企業様が必要書類を揃えるには日本語の書類をベトナム語に翻訳・署名・郵送の手間がかかりますし、申請後に様々な追加書類を求められる場合もあります。申請内容の難易度にもよりますが、当局申請までに1~2か月、申請後新ライセンス発行までに1~2か月かかることを想定したスケジュールを組むことが必要になります。

 

3.増資における投資ライセンス変更に必要な書類

 当局提出の書類はベトナム語となりますので、日本の取締役会議事録などの日本語の書類はベトナム語訳の後に公証認証が必要となることにご留意くださいませ。

1、出資元(親会社等)

最新の決算書(要公証認証)

銀行残高証明書原本
 

2、出資先(ベトナム法人)

最新の決算書の公証コピー

銀行残高証明書

1投資許可登録更新申請書

2取締役会議事録

3投資許可書変更理由の説明書

4財務能力説明書

5定款変更付録書

6経営生産活動の報告書

7委任状

※その他、状況に応じて当局より追加の書類を求められる場合がございます。

 

4.その他注意点

 増資の払込は設立当初の出資と同様に、ライセンスに記載されたスケジュール通りに払い込みを行う必要があり、払込先口座は外資企業の場合は資本口座のみとなります。

 また、増資を行う際、ライセンス変更から10日以内に税務署への届出が必要となり、遅延の場合には罰金が発生しますので留意が必要です。

さらに、増資後に証憑として下記の書類を会社に保管しておく必要がございます。

1日本親会社での本件増資についての決定書(稟議書等でも可、要ベトナム語版)

2送金時の銀行記録

3新ライセンス

4定款の今回変更事項が記載された「付録」

5旧ライセンス

6新聞公告

 

 以上、増資についての手続き及び注意すべき点を解説して参りました。全体的に余裕を持ったスケジューリングと金融機関様、各種専門家との連携を密にとって手続を進められることをお勧めいたします。

石川幸

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