2014年12月15日

ベトナムの税制事情1

1.ベトナムの税制事情

 ベトナムの税制には、法人所得税(CIT)、個人所得税(PIT)、付加価値税(VAT)等があり、それぞれ日本の法人税、所得税、消費税に類似しています。

 ベトナムの税制は頻繁に改正されることから、最新情報のキャッチアップが難しく、また、細則規定が十分に整備されていないことから、運用面で未熟な部分も多くあります。税務署職員であってもこれら税制の変化に対応する事は困難であるため、属人的な解釈が行われることもあります。納税者としては、オフィシャルレター等の書面回答を入手するまでは、法的解釈を行う事が困難な場合が多いと言えます。

そこで、信頼できる情報源を確保し、適切にベトナム税制と付き合うことが重要となります。

 

2. 税制の知識

1)事業登録税

 事業者登録税とは、法人が存続している限り毎年課されます。投資ライセンスに記載された総投資額(外資系企業の場合)に応じて1,000,000~3,000,000VNDの範囲内で税額が決定されます。新設企業の場合は、税コード発効日から30日以内に申告・納税を行い、翌年以降は毎年 1月30日までに当年分を申告納税します。

 仮に、申告遅延した場合、400,000~5,000,000VNDの範囲内で罰金が課されます。さらに、90日以上遅延する場合は税務署の裁量で罰金額が決定されます。また、納税遅延した場合、日利で0.05%(90日を超える期間は日利0.07%)の延滞税が発生するため注意が必要となります。税コード発行後の申告納税の際に遅延しやすいため、ライセンス取得手続き中から準備することをお勧めいたします。

 

2)付加価値税(VAT)

 VATとは、事業者が事業の過程で創りだす付加価値を課税標準とする租税となります。

VATの計算方式には控除方式と直接方式があります。控除方式は、インボイスに記載された仕入VATと売上VATの差額で未払税額/還付税額を計算し、直接方式は売上高にみなし付加価値税率を乗じて未払税額を計算します。標準税率は10%となります。売上高500億VND未満の場合、四半期ごとの申告が原則となり、確定申告がありません。

 ベトナムではインボイス方式を採用しており、インボイス(VATインボイス、販売インボイス等)の入手・保管がVAT控除や還付申告を行う場合などに非常に重要になります。

 なお、輸出加工型企業(EPE企業)のVAT非課税など、日本と異なる取り扱いについては専門家にご相談することをお勧めいたします。

 

3)法人所得税(CIT)

 CITとは、法人が稼得した所得に対する租税であり、標準税率は22%、2016年1月1日より20%となります。CITの計算方法は、事業収入から損金算入費用を控除し、非課税所得や繰越欠損金を考慮後の課税所得に税率を除して法人税額を計算します。また企業誘致策として、事業内容や設立地域の性質に応じた免税等の優遇が規定されています。

 当該CITは、各四半期ごとに翌月30日以内に予定納税をおこない、年度決算後90日以内に確定申告を行います。損金算入費用はインボイス等の添付、事業との関連性が求められ、交際費は基本的にNGとなる等、日本よりも取り扱いが厳しくなっています。特にインボイス等証憑の入手・保管についてはVAT同様適切に行う必要があり、注意が必要となります。

 

4)個人所得税(PIT)

 PITとは個人の所得に対する租税となります。課税対象期間、課税所得の範囲、申告時期等で日本と異なる点も多くなっています。また、過去の税務調査において1000万円超の追徴課税事例もある等、駐在員や出張者の方は十分に注意する必要があります。

 給与所得の税額計算では、給与所得控除がなく、また、所得控除の範囲が日本よりも狭いため、課税所得が日本のPITと比較して高額になります。累進税率は課税所得のレベルによって5%~35%となります。なお、月額50万円の給与所得者の実効税率は約25%となります。申告・納税は月次あるいは四半期に加えて確定申告も行います。

 PITは自ら申告・納税するという意識が希薄になりがちであるため、外国人であり注目されているという意識を持ち対応することが大切になります。

 

5)外国契約者税(FCT)

 FCTとは、外国法人等の外国契約者がベトナム国内において提供したサービスから得た所得に対して課せられる租税で、CIT部分とVAT部分から構成されます。外国契約者が税負担者でベトナム側契約者が納税義務者となるのが通常ではありますが、一定の条件のもと外国契約者が税義務者となる場合もあります。

 ベトナム側契約者が納税義務を負う場合、契約金額を支払う都度、FCTを源泉徴収し、申告・納税を10日以内に行います。税率は、ロイヤリティー10%等、サービスごとに異なるみなし付加価値税率とみなし法人税率を適用し、当該税額は外国契約者の自国における確定申告の際に外国税額控除の対象とすることができます。

 FCTは日本で馴染みがない税であるため、その内容をしっかりと理解し、申告・納税漏れがないように注意する必要があります。

石川幸

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