2014年12月01日

資金調達を行う際の注意点1

日系企業様のベトナム法人設立後の資金調達方法としては、大きく「増資」及び「借入」に分かれるかと存じます。その中の「借入」については親子ローン(日本法人である親会社からの借入)にて資金調達を行うことが一般的となっております(なお、日本法人である親会社は日本側のメインバンク等から借入を行い、ベトナム子会社へ転貸するというのも一般的になっております)。なぜ現地で資金調達しないかと言うと、ベトナムの銀行での借入金利(ベトナムドン建て)が一般的に15%~20%前後の金利水準となっており、日本の借入金利水準に比べて非常に高いことがひとつの原因であります。

  この親子ローン、返済時のベトナムからの海外送金、利子設定に伴うベトナム側のFCTの問題など注意すべきことがございますので、親子ローンによる資金調達を円滑に進めるために注意すべき点を解説して参ります。

 

1. 短期借入と長期借入

  短期借入とは1年以内返済の借入れのことです。メリットとしては長期借入と違い、中央銀行への登録等の煩雑な事務手続きは不要でということになります。また、投資ライセンス上の「総投資額」による長期借入枠の影響を受けないことから、最もポピュラーな資金調達手段となっております。

  デメリットとしては、1年以内返済のため、資金計画上、1年以内に返済資金を用意できる見込みがない場合はローンを実行しにくい点が挙げられます。(その場合、返済期限前に別の長期借入を実行するか、あるいは、返済期限前に同額ないしはそれ以上の別の短期借入を再度実行することによって、当該返済資金を用意する必要があります。)

  さらに、実務的な注意事項を申し上げますと、まず、借入実行前までに金銭消費貸借契約書を締結し(ベトナム法人としてはベトナム語のLoan Agreementも必要になります)、借入実行時に日本側で海外送金依頼書の送金目的欄に「Loan」名目で海外送金しなければ返済時の海外送金ができなくなる懸念がありますので注意が必要でございます(ベトナム側で、着金した際に着金目的に「Loan」と記載されないと後日トラブルになります)。また、金銭消費貸借契約書には後述するFCT(外国契約者税)に関連する条項が必要になります。具体的にはFCTの負担関係、申告・納税の方法等でございます。

 

  長期借入とは1年超の借入れのことです。メリットとしては、長期間にわたり計画的な資金返済が行えることが考えられます。

  デメリットとしては当該借入に関して事前に中央銀行への事前登録が必要になり、詳細な返済計画の作成及びその履行が必要となります。また、当該長期借入れの状況について中央銀行へ四半期ごとに報告する義務が発生します。

   さらに、長期借入ついては投資ライセンス記載上の「総投資額」の影響を受けます(Circular 12/2014/TT-NHNN 第11条 第2項(b))。「資本金」と「総投資額」の差額が長期借入枠となります。従って、「総投資額」=「資本金」であるベトナム法人の場合、もしくは借入予定額に対して長期借入枠が不足する場合には投資ライセンスの変更手続きから進める必要がありますので注意が必要です(約2ヶ月は投資ライセンスの変更手続に必要な時間をみないといけない)。

 

2. 利子設定におけるFCTと寄付金の問題

  短期借入・長期借入ともに支払利子を設定した場合、ベトナム国外に支払金利を支払する際に、ベトナム側でFCT(外国契約者税)という税金が発生します。FCTとはベトナム法人と外国契約者の間のサービス契約に対してかかる税金であり、親子ローンの場合には利子という「金融サービスの対価」が課税対象となります。

  金銭消費貸借契約の締結から20日以内に税コードを登録し、以後支払毎10日以内に当該利子額に対して5%の税金を申告・納付します。(Circular 60/2012/TT-BTC 税率は2014年7月現在)。一般的には、ベトナム側で源泉徴収する方法が取られていますから、支払金利を算出した後に海外支払額と納税額(源泉徴収額)を計算しなければなりません。また事務的には、税コードの登録及び納付のスケジュールがタイトであることから、FCTに対する事前の理解は欠かせません。登録遅延や納付遅延については罰則の対象になりますのでご注意下さいませ。

  また、もし利子を設定しない場合には日本側で子会社に対する寄付金であると判断される可能性がございますので、日本側税理士等に事前にご相談頂ければ幸いでございます。

   以上、親子ローンを実行する際に注意すべき点をご説明して参りました。最後になりますが、資金調達については事前にきちんと計画をたて、両国の金融機関や会計事務所等に相談しながら進めていくことをお勧めします。

石川幸

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