「10月末までに健康診断」「未実施なら罰金」は本当?DYMが企業向けに制度を解説
目次
最近、ホーチミン市内の企業向けに「10月末までに従業員の健康診断が必要」「未実施の場合は高額な罰金が科される可能性がある」といった、期限や罰則を強調する案内が見られるようになっています。
こうした情報を目にして、日本人従業員や会社代表者も対象になるのか、どの健康診断を受ければよいのかと疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。
実際にホーチミン市から通知は出されていますが、従業員の定期健康診断は以前から法律で義務付けられており、今回新たに導入された制度ではありません。
今回は、企業向け健康診断を提供するDYMメディカルセンターの協力のもと、行政通知の内容と健康診断の対象者、検査内容、企業が確認すべきポイントを解説します。
- 実施期限:ホーチミン市は2026年10月31日より前の実施を要請
- 対象者:日本人を含む外国人従業員に加え、会社代表者も対象
- 受診頻度:原則年1回以上、一部の労働者は6か月に1回以上
- 検査内容:2026年7月から改正された健康診断様式に対応する必要があります
- 費用・報告:原則企業負担、健康診断終了後3日以内の結果報告を要請
- 罰則:法定健康診断の未実施には行政罰がありますが、期限経過だけで最大額が自動的に科されるわけではありません
10月末までに健康診断が必要という情報は本当?
ホーチミン市内務局は2026年8月17日、公文書第16093/SNV-VLATLĐ号を発行し、市内の企業などに対し、対象労働者の100%について2026年10月31日より前に定期健康診断を完了することを要請しました。
一方、ベトナムの2015年労働安全衛生法第21条では、もともと企業に対して従業員の定期健康診断を原則年1回以上実施することを義務付けています。
今回の通知は新しい健康診断義務を設けるものではなく、以前からある義務の履行を徹底するためのものです。
なお、通知の文言は「10月31日より前」となっているため、10月30日までに実施を完了しておくのが安全です。
健康診断の実施方法や様式については、ホーチミン市保健局も2026年7月10日付の公文書第9345/SYT-NVY号、7月23日付の第10062/SYT-NVY号、8月13日付の第11267/SYT-NVY号で案内や更新を行っています。
誰が対象?日本人従業員や会社代表者も必要?
ベトナムで働く日本人などの外国人従業員も、原則として定期健康診断の対象です。従業員数が少ない企業についても、規模だけを理由とする一律の免除はありません。
| 対象者 | 健康診断の取り扱い |
|---|---|
| ベトナム人従業員 | 原則必要 |
| 日本人など外国人従業員 | 原則必要。 |
| パートタイム・短期雇用の従業員 | 雇用関係などに応じて確認(基準は社会保険の負担の有無、有りの場合は必須) |
| 会社代表者・社長 | 原則必要 |
| 雇用されていない出資者・株主 | 従業員としての地位などに応じて個別確認 |
外国人従業員のVNeID登録に注意
DYMによると、外国人従業員も健康診断の対象となりますが、VNeIDで12桁のID番号を取得していない場合、健康情報を所定のシステムへ登録できないという実務上の問題があります。
これは健康診断を受ける義務が免除されるという意味ではありません。該当する従業員がいる場合は、医療機関や担当行政機関に登録・報告方法を確認しておきましょう。
会社代表者・社長について
会社代表者・社長についても健康診断が必要です。代表者を対象者から除外せず、受診状況を確認することをおすすめします。個別の雇用関係や登録上の取り扱いに疑問がある場合は、担当行政機関への確認が必要です。
一部の労働者は6か月に1回以上
通常は年1回以上の受診が必要ですが、重労働・有害・危険業務に従事する労働者、障がいのある労働者、未成年者、法律上の高齢労働者などについては、少なくとも6か月に1回以上の健康診断が必要です。
どのような健康診断を受ければよい?
健康診断の内容は保健省通達第32/2023/TT-BYT号と、その改正通達第25/2026/TT-BYT号(以下、TT25)などに基づきます。2026年7月1日からはTT25によって改正された健康診断様式の規定が適用されています。これから受診する際は、医療機関が最新の様式に対応しているか確認しましょう。
| 検査区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 身体測定 | 身長・体重・BMI・血圧・脈拍 |
| 内科 | 循環器・呼吸器・消化器など |
| 外科・皮膚科 | 外科的な健康状態・皮膚の確認 |
| 眼科・耳鼻咽喉科 | 視力、耳・鼻・喉の状態 |
| 歯科 | 歯や口腔内の状態 |
| 産婦人科(女性従業員) | 婦人科診察、子宮頸がん・乳がんの検査 |
| その他の検査 | 必要な血液検査・尿検査・画像診断など |
女性従業員の検査については、子宮頸がんのスクリーニングと、乳房の診察・乳腺エコー・マンモグラフィなどによる乳がんのスクリーニングが含まれます。実施する方法は適用される基準や受診者の状況を踏まえて決まります。
血液検査・尿検査・画像診断についても、適用される健康診断の基準や医師の指示に応じて実施されます。具体的な必要項目は医療機関に確認してください。

日本の人間ドックやワークパーミット用健診で代用できる?
日本で受けた定期健康診断や人間ドック、日本の基準に沿った健康診断は、それだけではベトナムの法定定期健康診断として認められません。
一方、ベトナム国内で受けたワークパーミット(労働許可証)取得用の健康診断は、TT25に沿った内容となっており代用可能とされています。
すでに受診している場合:2025年11月以降または2026年中に、必要な法定項目を満たす健康診断を完了している場合は、今回の通知だけを理由に改めて受診する必要はありません。検査内容と受診記録を確認しておきましょう。
また、法定健康診断に対応できる医療機関は限られるため、予約前に受診目的と必要な様式を伝えて確認することが重要です。
健康診断の費用は企業負担?
労働安全衛生法第21条第6項では、従業員の法定健康診断などにかかる費用は雇用主が負担すると定められています。そのため、企業が実施する定期健康診断の費用は原則として企業負担です。
健康診断後は行政への報告も必要
ホーチミン市内務局の通知では、健康診断終了後3日以内に、指定されたオンラインフォームを通じて結果を報告することも求められています。健康診断の実施と、結果の行政への登録・報告はそれぞれ確認しておきましょう。
ホーチミン市の健康診断結果報告フォーム
行政への報告フォームを開く ↗登録に必要な情報やID番号などについて不明点がある場合は、提出先や受診した医療機関へ確認してください。
健康診断を実施しなかった場合、本当に罰金が科される?
2026年9月10日に施行された政令第283/2026/NĐ-CP号では、法定定期健康診断を実施しなかった雇用主への行政罰が定められています。
200万~600万ドン
ただし、今回の10月末という期限を過ぎただけで、直ちに最大額の罰金が自動的に科されるという意味ではありません。実際の健康診断の実施状況や適用法令に基づいて判断されます。
罰金額だけに注目するのではなく、必要な健康診断を適切に実施し、記録と報告を整えておくことが大切です。
企業が確認しておきたい4つのポイント
外国人従業員や会社代表者を含め、受診が必要な人を確認します。
すでに受診した健康診断の実施日と、法定項目を満たしているかを確認します。
TT25に対応した内容で受診できるか、必要な検査項目や書類を医療機関に確認します。
健康診断終了後の報告手続き、外国人のID登録上の問題、書類の保管を確認します。
まだ受診していない従業員がいる場合は、対応可能な医療機関に受診枠を確認し、必要な手続きを進めましょう。
毎年の健康診断は、早めの計画が大切です
今回の通知をきっかけに、企業として見直しておきたいのが定期健康診断の実施体制です。

健康診断は原則として毎年必要になるため、行政からの通知や期限が近づいてから受診先を探すのではなく、年間スケジュールに組み込んでおくことが重要です。
日本人とベトナム人の両方を雇用する企業や、従業員数が多い企業では、検査項目や日程の調整にも時間がかかります。法令への対応だけでなく、病気の早期発見や従業員の健康維持のためにも、余裕を持って計画しておきましょう。
次回の企業健康診断はDYMメディカルセンターへ
DYMメディカルセンターでは、日本人向けの定期健康診断・人間ドックに加え、ベトナム人従業員向けの企業健康診断も提供しています。

日本人向け健康診断を日本語でサポート
日本人向けには、定期健康診断から人間ドックまで幅広く対応しています。日本語での受診サポートや検査結果の説明など、海外での健康診断に不安がある方も相談しやすい体制を整えています。
ベトナム人従業員向けの企業健康診断も提供
ベトナムの法定健康診断に対応する企業向けプランを提供し、従業員数や必要な検査内容に応じた相談を受け付けています。企業・工場などへの出張健康診断にも対応しています。
次回の定期健康診断では、従業員数・検査項目・実施時期を早めに整理し、余裕を持って医療機関に相談することをおすすめします。
情報の取り扱いについて:今回の健康診断に関する制度や運用については情報が錯綜しており、保健省への問い合わせに対する回答を含め、担当官によって解釈が異なる場合があります。本記事は、2026年10月時点でDYMメディカルセンターが把握している情報をもとにまとめています。個別の適用条件や登録方法は、関係当局・医療機関にご確認ください。異なる情報や新たな案内がありましたら、DYMメディカルセンターへお知らせください。
参考資料
- ホーチミン市内務局・公文書第16093/SNV-VLATLĐ号
- ホーチミン市保健局・公文書第9345/SYT-NVY号、第10062/SYT-NVY号、第11267/SYT-NVY号
- 2015年労働安全衛生法第21条
- 保健省通達第25/2026/TT-BYT号
- 政令第283/2026/NĐ-CP号
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