〈写真:イメージ画像〉
ベトナム国家銀行(中央銀行)は、人工知能(AI)やディープフェイクを悪用して本人の顔を偽装し、銀行の生体認証をすり抜けて不正送金を行う手口が巧妙化しているとして、利用者に注意を呼びかけた。
同行決済局のファム・アイン・トゥアン局長が10月8日に開かれた「ベトナムデジタル決済の日2026」の記者会見で明らかにしたもので、生体認証による本人確認は口座の貸し借りや売買を利用した詐欺の抑止に効果を上げているものの、それだけでは不正を完全に防げないという。
実際に、本人名義で開設した銀行口座の情報を詐欺グループに提供する事例があり、犯罪者が入手した生体認証情報とAI技術を組み合わせ、決済サービスの一部の認証手続きを回避して本人以外による送金を行う恐れがある。
国家銀行は公安当局の協力を得て決済サービス事業者のセキュリティ上の弱点を特定しており、関係機関に対してシステムの点検や脆弱性の修正、旧式技術の更新を急ぐよう求めている。
また、詐欺や不正取引の疑いを検知する警告システム「SIMO」を導入し、これまでに21の金融機関で利用できる体制を整えた。
同システムは、詐欺の疑いがある総額6兆3000億ドン(約385億円)以上の取引の阻止に貢献している。
さらに国家銀行は、2027年第3四半期末ごろをめどに、不正送金を防ぐ新たな仕組みの導入を予定している。
利用者が、直近1年以内に初めて取引した送金先口座への振り込みについて、送金限度額や処理を保留する時間を自ら設定できるようにするもので、保留時間は最低24時間とする方針である。
この間に利用者が不審な点に気付いた場合、家族への確認や金融機関への問い合わせを行い、送金が実行される前に取引を中止できるようにする狙いがある。
トゥアン局長は、送金までに時間を設けることで、詐欺グループによる心理的な誘導から利用者が冷静さを取り戻し、被害を防ぐ機会が増えるとの考えを示した。
一方、ベトナムではキャッシュレス決済の利用が拡大しており、2026年1〜8月の非現金決済件数は前年同期比34.56%増、取引金額は13.26%増となった。
インターネット経由の決済件数は46.57%増、携帯電話経由は35.33%増、QRコード決済は6.66%増となり、QRコード決済の取引金額は25.85%増加した。
10月2日時点で生体認証情報の照合が完了した個人口座の顧客記録は1億7520万件以上、法人顧客の記録は294万件以上に達しており、国家銀行は技術面の対策とともに、利用者自身による個人情報保護の意識向上が不可欠だとしている。







































