〈写真:イメージ画像〉
ホーチミン市で路面店舗の空室が長期化するなか、一部の家主が賃料を大幅に引き下げるよりも空室のまま借り手を待つことを選び、低賃料と長期契約を求める事業者との間で条件の隔たりが広がっている。
市内では閉店や移転に伴って貸店舗の看板を掲げる物件が目立ち、不動産仲介業者によると、数カ月から1年にわたって借り手が見つからない店舗もあるという。
フーニュアン街区のフイン・バン・バイン通りに120㎡の物件を所有する男性は、衣料品店の退去を受け、月額賃料を従来の3500万ドン(約22万円)から3000万ドン(約18万円)に引き下げたものの、借り手側からは2000万ドン(約12万円)への値下げと2〜3年間の契約を求められている。
男性は契約期間を最長1年とし、入居初月に限って500万〜1000万ドン(約3万1000〜6万2000円)の追加値引きに応じる考えだが、それ以上の条件緩和には慎重な姿勢を示している。
一方、飲食店や衣料品店、美容関連店舗などの出店需要は依然として存在するものの、事業者は初期投資の負担を抑えるために低い賃料を求め、設備投資や顧客獲得に必要な期間を確保するため、3〜4年間の長期契約を希望する傾向がある。
不動産仲介業者によると、月額5000万〜7000万ドン(約31万〜43万円)、あるいは1億ドン(約62万円)を超える物件では、家主が市場回復後の賃料引き上げ機会を失うことを懸念し、安い賃料での長期契約を避けるケースがある。
また、借り手の資金力不足による賃料滞納や契約途中での退去、契約上のトラブルなども家主側の懸念材料となっており、条件に合わない相手と契約するより空室を維持する判断につながっている。
不動産サービス大手Savillsの第3四半期報告によると、ホーチミン市の小売物件の賃貸面積は約160万㎡で、稼働率は92%、1階部分の平均賃料は月額1㎡当たり160万ドン(約9800円)と小幅に上昇した。
賃貸需要は飲食業が中心で、娯楽施設や子供・家族向けサービス、フィットネス関連の事業者も出店を拡大しており、小売市場全体の需要と路面店舗の空室状況には違いがみられる。
不動産情報サイトBatdongsan.comの調査では、年初から第3四半期までの路面店舗の賃貸検索需要は旧1区が全体の16%で最多となり、旧2区が9%、旧3区が8%と続いた。
また、路面物件の賃貸利回りは第3四半期に中心部で2.3%、準中心部で3.1%となり、2024年初めの約1.9%から改善する傾向にある。
不動産コンサルティング会社Avison Youngのベトナム・カンボジア担当者は、小売市場に一定の回復兆候があるにもかかわらず、路面店舗で借り手が見つからない背景として、事業者の経営手法が変化する一方、一部の家主が従来の賃貸条件に固執していることを指摘した。
TikTokやShopeeなどのオンライン販売が普及したことで、実店舗には賃料や内装費、人件費、在庫、広告費などの投資に見合う収益性が求められるようになり、交通量の多い道路沿いでも駐車や徒歩での来店が難しければ商業的な価値が高いとは限らないという。
同社は、借り手が頻繁に入れ替わることで空室期間や仲介費用が発生するより、賃料を多少引き下げても長期的に安定した契約を維持する方が家主にとって有利な場合があると説明している。
さらに、固定賃料と売上高に応じた歩合賃料を組み合わせる柔軟な契約方式を導入し、借り手の事業成長に合わせて家主も利益を得られる仕組みを検討するよう提案している。






































