〈写真:イメージ画像〉
ダナン市の世界遺産ホイアン旧市街で地元住民の流出が進み、従来の家主の約40%が転居したことが明らかになった。
観光客向けの商業利用が拡大する一方、建物の賃料は月3億ドン(約180万円)を超える例もあり、地域に根付いた伝統的な暮らしや文化が失われることへの懸念が高まっている。
10月中旬に開催されたホイアン旧市街の観光開発に関する会議で示されたデータによると、2023年時点で旧市街の住民は3000人余りまで減少し、中心地区の家主の約30%をハノイ市やホーチミン市からの転入者が占めていた。
2024年には、歴史的建造物のうち実際に人が居住している物件の割合が20〜30%程度にとどまり、残る地元住民の中にも老朽化した家屋の修繕が進まず、厳しい生活環境に置かれている世帯がある。
住民流出の背景には、古民家の高額な賃料に加え、文化財保護に伴う建物の改修制限や、旧市街への車両進入が難しいといった生活上の不便さがある。
グエン・ズイ・ヒエウ通りにある200㎡超の古民家を月1億2000万ドン(約73万円)で貸し出している男性も、家族とともにダナン市中心部へ転居したという。
賃料高騰は国が管理する公有物件にも及んでおり、約200棟のうち100棟以上が商業目的の賃貸入札の対象となっている。
ダナン市人民委員会事務局長のグエン・ドゥック・ビン氏によると、最近の賃料は月1億〜2億ドン(約61万〜120万円)に達し、日本橋(来遠橋)付近の角地では月3億ドン(約180万円)を超える物件もあり、地元住民が賃貸市場で競争することは極めて難しくなっている。
バクダン通りやグエン・ティ・ミン・カイ通りなどの主要道路でも月6000万〜1億2000万ドン(約37万〜73万円)が相場となり、事業者が1〜3年分の賃料として30億〜40億ドン(約1800万〜2400万円)を一括で前払いするケースもある。
一方、地元で不動産仲介業を営む男性は、外部からの事業者の参入や住民による売却・賃貸は市場の需給に沿った自然な動きであり、より快適な住環境を求めて転居することも個人の自由だと指摘している。
しかし、ホイアン市の元共産党委員会書記であるグエン・スー氏は、かつての古民家が住居、祖先の祭祀、小規模商店という3つの役割を担っていたのに対し、現在は商業利用だけが残る物件が増えていると警鐘を鳴らした。
高額な賃料を回収しようとする事業者が利益を優先する結果、客引きや地域の伝統にそぐわない業態が広がり、住民同士の交流や昔ながらの商習慣が失われつつあるという。
こうした状況を受け、ホイアン世界文化遺産管理センターのファム・フー・ゴック所長は、地元住民の定住を支援する計画の策定を提案し、公有物件の賃料を適正に設定するとともに、住居とホームステイ、文化・創作活動を組み合わせた利用を促す必要があると訴えた。
ダナン市当局も公有物件の管理方法を慎重に検討しており、関係機関に対して文化遺産の保護と地元住民の生活保障を両立させる具体策の策定を指示している。
グエン・スー氏はさらに、相続などを理由に売却される古民家を行政が買い取り、元の所有者やその子孫に優遇賃料で貸し戻す制度を提案した。
地元住民による伝統料理や工芸品の販売を支援し、税負担の軽減や古民家の維持管理に対する手当の支給などを通じて、住民が旧市街に住み続けられる仕組みを整えるべきだとしている。
同氏は、失われた文化的価値は取り戻すことができないと強調し、観光収入を地元住民の暮らしに還元することが、ホイアンの文化遺産を守るために不可欠だとの考えを示した。





































