〈写真:イメージ画像〉
ホテルの便座や浴槽を使用して性感染症に感染する可能性は極めて低い一方、清掃が不十分な設備や備品には皮膚感染症や胃腸炎などのリスクが潜んでいるとして、泌尿器科医が注意を呼び掛けた。
泌尿器科医によれば、HIVや梅毒、淋病などの病原体は人体から離れて乾燥した環境にさらされると感染力を急速に失うため、便座やテレビのリモコン、浴槽などを介した間接感染は極めてまれである。
人間の皮膚には角質層による保護機能があり、通常の接触だけで病原体が侵入することは難しく、感染には皮膚や粘膜の傷、十分な量の病原体との接触など、特定の条件が必要になるという。
また、性感染症には数日から数年に及ぶ潜伏期間があるため、旅行後に症状が現れたとしても、宿泊先で感染したとは限らないと指摘している。
一方、ホテルで実際に注意すべき場所として挙げられるのが、ジャグジーや温浴設備、寝具、湿った共用スペース、頻繁に手が触れる備品などである。
ジャグジーやスパの浴槽では、配管や浴槽が定期的に消毒されていない場合、細菌や皮膚の老廃物が蓄積し、緑膿菌による毛嚢炎などの皮膚感染症を引き起こす恐れがある。
水質管理が不十分な浴槽に長時間入ると、女性のデリケートゾーンの細菌バランスが崩れ、カンジダ膣炎や尿路感染症のリスクが高まる可能性もある。
ソファやシーツ、枕、タオルなどの布製品も注意が必要で、十分に洗濯・消毒されていない場合、毛ジラミや疥癬の原因となるダニなどが付着している可能性があるほか、マットレスの隙間に潜むトコジラミに刺されると、かゆみや発疹が生じることがある。
浴室やプール周辺などの湿った床も感染リスクがあり、裸足で歩くと足白癬(水虫)やウイルス性のいぼに感染する可能性が高まるため、特に足裏に小さな傷がある場合は注意が必要である。
テレビのリモコンや室内電話など、清掃時に見落とされやすい備品にはノロウイルスやロタウイルスなどが付着している場合があり、触れた手を洗わずに飲食すると胃腸炎につながる恐れがある。
さらに、大規模な給湯設備や貯水タンクの管理が不十分な施設ではレジオネラ菌が増殖し、シャワーやスパなどで発生する微細な水滴を吸い込むことで、重い肺炎を引き起こす場合もある。
感染症を防ぐためには、チェックイン後にシーツやマットレスの隙間、浴槽、洗面台などの清掃状態を確認し、浴室やプール周辺ではスリッパを使用することが推奨されている。
浴槽を使用する際は、事前にシャワーなどからお湯を1〜2分流して表面を洗い流し、可能であれば個人用のタオルを持参することも予防策として挙げられた。
食事前やトイレ使用後に石けんで手を洗い、洗っていない手で目や鼻、口、デリケートゾーンに触れないことが、旅行中の感染症予防において重要となる。






































