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HIV感染の様態変化と課題、新規感染の68%は南部に集中
<写真:bvquan9.medinet.gov.vn>
ベトナムにおけるHIV感染の様態が近年大きく変化している。保健省の発表によれば、2025年に新たに確認されたHIV感染者は1万3351人、死亡者は1905人であった。
感染経路の約8割は性的接触によるものであり、特に男性同性愛者(MSM)およびトランスジェンダー女性が主な感染層を形成している。
かつて主要な感染経路であった注射器の共有や母子感染は大幅に減少し、現在では同性間の性的接触が感染の中心となっている。
保健省が全国10省市で実施した調査によると、MSMの新規感染率は7.2%に達し、薬物使用歴のある者はそうでない者に比べてHIV感染リスクが8倍にのぼることが明らかとなった。
新規感染者の約68%はメコンデルタ地域、南東部、ホーチミン市に集中しているが、従来あまり注目されてこなかった非重点地域においても感染の増加傾向が見られる。
合成麻薬の使用や複数人での性行為といった複雑なリスク行動の拡大が、その背景にある。
一方、HIV対策は全体として停滞している。
UNAIDSが掲げる「95-95-95」目標、すなわち感染者の95%が自身の感染を認知し、95%が治療を受け、95%がウイルス抑制に成功するという目標に対し、ベトナムではそれぞれ87%、79%にとどまっている。
対策の遅れの要因としては、予算不足、検査機材の調達難、PrEP(曝露前予防薬)への医療保険の未対応、そして感染者に対する社会的スティグマの存在が挙げられる。
UNAIDSベトナム代表のラマン・ハイレヴィッチ氏は、国際支援の縮小がHIVの診断および治療サービスの継続に悪影響を及ぼすと警鐘を鳴らしている。
ベトナム政府は2029年までに国際支援に依存しない完全な自立を目指しており、そのためには予防啓発の強化と医療サービスへのアクセス拡充が急務であるとされた。
保健省は、MSM、トランスジェンダー女性、売春従事者、注射薬物使用者といった高リスク群に対してPrEPの服用を推奨している。
また、抗HIV薬(ARV)による早期治療を開始し、ウイルス量を検出限界以下に抑えることで、性的接触や母子間での感染を防ぐことが可能であると強調している。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。