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ベトナムでは高齢化の進行に伴い、高齢者向け商品や介護サービスを中心とする「シルバー経済」の拡大が見込まれる一方、専門的な介護施設や地域での生活支援サービスの供給不足が課題となっている。
RMIT大学ベトナム校が8月に発表した報告書によると、在宅ケア関連の市場規模は2023年の26億ドル(約4100億円)から2034年には48億ドル(約7600億円)へ拡大すると予測されている。
国連の報告では、ベトナムは2036年に高齢社会へ移行する見通しで、日常生活に支援を必要とする人は2025年の470万人から2035年には650万人へ38%増加すると予測されている。
しかし、全国の社会福祉支援施設は46施設にとどまり、需要のわずか0.05%にしか対応できておらず、地域の介護サービスを利用できる高齢者は15%、正式な在宅介護サービスの利用率も3〜5%にとどまる。
高齢者向け商品の消費も拡大しており、データ分析プラットフォーム「Metric」によると、2025年10月〜2026年9月の主要ECサイト4社における高齢者向け食品・日用品の売上高は1946億ドン(約12億円)となり、前年から35%増加した。
一方、適切なサービスや相談先が不足する中、高齢者が健康商品などに多額の費用を支払う事例もみられる。
ハノイ市在住の80歳女性は、夫の死後に孤独を感じるようになり、無料のマッサージベッドを利用できる施設へ通い始めたが、従業員との交流を重ねるうちに健康関連商品を次々と購入するようになった。
市場価格の約6倍に当たる350万ドン(約2万1000円)のカルシウム製品や、4000万ドン(約24万円)のマッサージ機などを購入したものの、機器は効果を感じられず使用しなくなり、その後さらに1億4000万ドン(約85万円)の全身マッサージベッドを購入しようとして家族に止められた。
別の高齢夫妻も、近所の高齢者と無料マッサージ施設へ定期的に通い、年金や子どもからの仕送りを使って毎月約1500万ドン(約9万2000円)の健康関連商品を購入している。
娘が外出の負担を減らそうと3000万ドン(約18万円)のマッサージ機を贈ったものの、夫妻は1人で利用しても退屈だとして使わず、施設での交流を続けている。
ベトナム健康増進コンサルティング協会のファム・タイン・ビン会長は、高齢者の健康管理に対する需要は大きいものの、孤独につけ込んだ商品販売ではなく、適正な価格で利用できる専門的なサービスの整備が必要だと指摘した。
同会長は、今後の成長が期待される分野として、予防医療と慢性疾患管理、リハビリや栄養・運動支援、在宅・通所・入居型の専門介護、精神的健康支援や遠隔ケア技術の4分野を挙げている。
RMIT大学ベトナム校のキャサリン・アール准教授も、現在の市場では高齢者の精神的健康や社会的交流、生涯学習、終末期ケアといった重要な需要が十分に満たされていないと指摘し、家族によるケアを中心に据えながら、病院の外まで広がる包括的な支援体制の構築を求めている。
こうした中、ハノイ市では公立の高齢者向けデイケア施設の試験運営が始まっており、前述の80歳女性は9月から利用を開始した。
同施設では1日10万ドン(約610円)で食事や足湯、看護師による健康チェックなどを受けられるほか、ほかの高齢者との交流も可能で、同女性は話し相手ができたことを特に喜んでいるという。









































