〈写真:イメージ画像〉
ベトナムで2024年から急速に広がったピックルボール人気が2026年も続き、コートの多さや大会の盛況ぶりが海外メディアの注目を集める一方、施設の供給過剰や競技環境の未成熟を懸念する声も出始めている。
米国の専門誌「The Pickleball Weekly」のダン・ビーマン氏は、約3年間にわたりベトナムの動向を追跡し、当初は一時的なSNS上の流行とみられていた競技が、用具販売やコート運営、大会開催を含む大きな市場へ成長したと評価した。
オーストリアのスポーツ専門誌「Racketista」のペーター・ロビッチ氏も、4月にハノイ市を訪れた際、ホテルから徒歩10分の範囲に8つのピックルボール施設を発見し、最大規模の施設には10面のコートがあったと報告している。
調査したコートの大半は午後の早い時間帯から予約で埋まっており、米国のトップ選手であるアンナ・リー・ウォーターズ選手とベン・ジョンズ選手も、ベトナムのコートの多さに驚きを示したという。
しかし、こうした急拡大の裏では、市場の飽和を指摘する声も上がっている。
プロピックルボール選手協会(APP)が9月10日に公開したインタビューで、APPアジアのケアリン・ヤップ氏は、ベトナムの大会参加者市場が成熟期から縮小期へ移行しつつある可能性を指摘した。
同氏によると、大会参加者は賞金額や参加費用、支出に見合う見返りが得られるかを慎重に判断するようになっており、これまでのような勢いを維持できるかが課題となっているが、競技全体の人気低下を意味するものではない。
フランスのESCPビジネススクールで教鞭を執り、ベトナムの仏越経営教育センター(CFVG)所長を務める教授は、ピックルボール市場の問題について、金融バブルというよりも集団心理に基づく過剰投資だと分析している。
2024年にコートが予約で埋まる状況を見た投資家が相次いで施設を開設したものの、他の地域でも供給が急増していることを十分に考慮しておらず、ハノイ市では予約件数が半減した施設や売却に出された施設もあるという。
競技人口の拡大に対し、プロ選手を育成する環境が追いついていないことも課題となっている。
専門誌「World Pickleball Magazine」は10月、米国でトレーニング経験のある18歳のソフィア・フオンアイン選手が、ベトナム国内では十分な競争レベルを備えた女子大会を見つけることに苦労している事例を紹介した。
APPアジアのユキ・チェン氏も、競技への関心そのものではなく、大会運営や審判制度、施設の質、持続可能なビジネスモデルの構築が大きな課題だと指摘している。
さらに、コートの急増は都市部の騒音問題にもつながっており、2025年末にはハノイ市やホーチミン市の住宅地で深夜まで続くプレーによって住民の睡眠が妨げられ、トラブルが発生していることも報じられた。
一方、ベトナムのアマチュア選手が自費で海外大会に参加する動きもみられ、一部地域で市場が飽和しても、競技そのものの人気が直ちに失われるわけではない。
今後は一時的なブームを超え、継続的に競技を楽しむコミュニティーや本格的な選手育成制度を構築できるかが、ベトナムのピックルボール市場の持続的な発展を左右する重要な課題となっている。












































