〈写真:イメージ画像〉
ベトナムで日本向けの労働者派遣企業が深刻な採用難に直面しており、かつて求人1件につき7〜8人いた応募者が現在は2人程度まで減少している。
日本はベトナム人海外就労者の受け入れ先として最大の市場であり、2026年上半期にも約2万8500人が渡航したが、派遣企業では人材確保が追いつかない状況が続いている。
ハノイ市アンカインに拠点を置く人材派遣会社の人事責任者によると、同社は日本向けに食品加工や機械、自動車関連などの人材を10年以上送り出してきたが、求職者の供給は以前と比べて約60%減少した。
年間600件以上の求人案件を受け付けているものの、担当者が農村部や北部山岳地域まで出向いて募集しても、確保できる人数は必要数の約10%にとどまり、説明会の参加者も高齢者や中年女性が中心となっている。
若者の多くは都市部の工場やサービス業、配車サービスなどで働いており、同社は採用基準の緩和や送迎、研修期間中の費用支援などを進めているが、募集人数を満たせない案件が相次いでいる。
採用難の背景には国内の雇用機会の増加に加え、円安によって日本で働く経済的な魅力が低下していることがある。
同責任者によると、以前は1円当たり200〜220ドンだった為替相場が現在は160〜170ドン程度となり、日本で得た給与をベトナムに送金する際の価値が目減りしている。
日本で働く労働者の総収入は10年前の1.2〜1.5倍に増えているものの、かつて月収3000万〜4000万ドン(約18万〜24万円)から2000万〜2500万ドン(約12万〜15万円)を貯蓄・送金できていた状況と比べ、現在も貯蓄額はほぼ同水準にとどまっているという。
一方、ベトナム国内では建設業の一般労働者でも月収2000万ドン(約12万円)程度を得られる職種があり、海外就労を選ぶ動機が弱まっている。
出国までの待機期間も障壁となっており、日本向けは準備に約7カ月を要するのに対し、アジアの他地域では約4カ月とされ、渡航費用を借り入れる労働者にとって収入のない期間が負担となるほか、日本語の習得も課題となっている。
別の派遣企業の採用担当者によると、食品加工や物流関連の求人は比較的応募が集まる一方、溶接や機械加工などの職種では人材確保が難しく、8人を必要とする機械関連の求人3件が月初から未充足のままとなっている。
若い世代は重労働や高い技能を求められる仕事を避ける傾向があり、以前は1人の採用枠に3〜4人が応募していたが、現在は1〜2人に減少した。
企業側も日本の受け入れ先が定める条件を自由に緩和することは難しく、機械関連の一部求人では作業設備の高さに合わせて身長168cm以上が必要とされるなど、採用基準が人材確保の制約となっている。
比較的条件が緩く、1〜2カ月で出国できる台湾への就労を選ぶ人もいるが、同社では台湾向けの人材供給も約30%減少し、電子産業の求人需要の60〜70%程度しか満たせていない。
それでも日本には雇用の安定性や労働者保護制度などの利点があり、3年間の技能実習を終えた労働者は、帰国後に納付済みの年金保険料の一部として、条件に応じて1億〜1億5000万ドン(約61万〜91万円)の脱退一時金を受け取れるという。
日本では2027年初めから技能実習制度に代わる育成就労制度の段階的導入が予定されており、派遣企業の間では人材の質や採用条件への要求が高まり、労働者の獲得競争がさらに激しくなるとの見方が出ている。
同社では現在も約60人分の採用枠が残っているが、確保できるのは約3分の1にとどまる見通しであり、年末に向けて採用難が一段と厳しくなっている。






































