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日本で働くベトナム人労働者、帰国後の「無一文」への恐れが拡大
<写真:danviet.vn>
日本で働くベトナム人技能実習生や特定技能労働者の間で、帰国後の生活再建に対する不安が高まりつつある。
高額な渡航費、想定を下回る収入、円安の影響などが重なり、十分な貯蓄を持たずに「無一文」で帰国する事態を恐れる声が多く、日本に留まり続ける労働者が後を絶たない。
ベトナム北部出身のT氏(29)は、5年前に約3億ドン(約177万円)の借金をして渡日した。
農業分野で月収30万〜40万円を期待していたが、実際の技能実習期間中の収入は月9万〜11万円にとどまり、過酷な労働環境の中で働き続けた。
借金の返済を終えた後も「帰国しても職も資金もない」との不安から日本に残る道を選択した。
特定技能へ移行後、月収は17万円まで増加したが、円安と物価高騰の影響により生活費がかさみ、実際に家族へ送金できる金額は月12万〜14万円程度にとどまっている。
T氏は「最も重いのは家族からの期待と面子」と語る。同様の不安を抱える労働者は少なくない。
別の出稼ぎ労働者M氏(33)は「300万〜400万円の貯金では家を建てたら終わり。帰国後の生活が失敗に終わることが怖い」と述べ、日本での就労延長を決断した。
国際労働機関(ILO)によれば、ベトナム人が日本で働くために必要な平均渡航費は約1億9200万ドン(約113万2800円)に達し、東南アジアの中でも極めて高額である。
さらに、2025年半ばの円安により、送金の実質的な価値は10〜20%も目減りしたとされる。
こうした状況の中、ベトナム人労働者の多くが当初の予定より長期間日本に滞在する傾向が強まっている。
日本での生活に慣れた後に帰国し、収入が激減することや、帰国直後に職が見つからないリスクが心理的な負担となっている。
ある人材送り出し機関は「技能不足」「収入に対する誤認」「帰国後の資金消耗」の3点を、帰国を避ける主な要因として挙げている。
特に、渡日前の職業訓練や帰国後の職業設計が不十分であるため、貯蓄があってもそれを有効に活用できない事例が多いという。
こうした状況を回避するためには、農業や技術職など、地元の実情に合った職業訓練を通じて、帰国後の自立を支援するプログラムが必要である。
また、日本での滞在中から明確な目標を持ち、必要なスキルや資格を取得しておくことが重要であり、準備不足が帰国後の不安を一層深めている現状を打破しなければならない。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。