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中国人観光客の獲得を巡り、タイや韓国、シンガポールなどアジア各国がビザ免除や航空路線の拡充、デジタル広告を活用した誘致策を強化しており、ベトナムも市場シェアの拡大を目指している。
中国国家統計局によると、中国本土からの海外渡航者数は2025年に延べ1億6700万人を超え、前年比16%増加した。
国連世界観光機関(UN Tourism)の統計では、中国人旅行者の2024年の海外旅行支出は2510億ドル超(約40兆円)で世界最大となっており、航空会社やホテル、飲食店などにとって重要な市場となっている。
旅行市場調査会社Dragon Trailが4月に公表した調査では、中国人回答者の56%が海外旅行中のアクティビティーや体験への支出を増やす意向を示し、49%が飲食費を増やしたいと回答するなど、価格や利便性だけでなく旅行体験の充実が重視されている。
同社が7月に中国の旅行会社300社以上を対象に実施した調査では、2026年の注目旅行先としてタイが19%で首位となり、日本が16%、韓国が13%、シンガポールと米国がそれぞれ7%で続いた。
タイは2023年から中国人を対象としたビザ免除政策を導入しており、2026年上半期の中国人観光客数は前年同期比18%増の約260万人に達し、年間510万人の受け入れを目標としている。
タイ政府観光庁は富裕層向けの健康・スポーツ・文化体験や家族旅行などの商品開発を進めるとともに、9月にはデジタル広告やインフルエンサーを活用した「Nihao Month 2026」を展開した。
韓国もK-POPや韓国ドラマ、美容、ファッション、グルメなどの人気を背景に誘致を進めており、中国人団体旅行者向けのビザ免除政策などを通じて、2026年1〜5月の中国人観光客数は前年同期比25%増の約256万人となった。
一方、日本は中国との外交関係の緊張による影響を受けており、日本政府観光局(JNTO)によると、2026年上半期の中国本土からの訪日客数は前年同期比56.4%減の約210万人に落ち込んだ。
マレーシアとシンガポールも中国との相互ビザ免除制度を活用し、マレーシアは多文化体験や家族旅行、シンガポールは都市観光や娯楽、高品質なサービスを強みに市場拡大を図っている。
ベトナム国家観光局によると、2026年1〜9月の中国人観光客数は約400万人で、国・地域別の訪越外国人客数で首位となり、2025年通年でも前年比約41%増の528万人超を記録していた。
ベトナムは中国からの地理的な近さやビーチリゾート、食文化、競争力のある旅行費用を強みとしており、カインホア省を訪れる中国人団体旅行者を対象とした試験的なビザ免除政策も市場拡大の機会となっている。
航空路線の拡充も競争の重要な要素となっており、航空路線情報サイトFlightConnectionsによると、10月時点でベトナムと中国の間には22社が運航する中国国内23都市への直行便が設定されている。
これに対し、韓国は中国国内42都市、タイは29都市、マレーシアは30都市、シンガポールは32都市と航空路線で結ばれている一方、日本では中国の航空会社による51路線の運航中止・停止が2025〜2026年冬季スケジュールに盛り込まれるなど、路線縮小が続いている。
中国人旅行者のニーズも変化しており、Dragon Trailの調査では旅行会社の47%が18〜35歳を最も成長の速い顧客層と評価し、37%が少人数ツアー、33%がオーダーメード型ツアーや高級旅行を成長分野に挙げた。
アジア観光開発研究所のファム・ハイ・クイン所長は、ビザ免除や直行便の拡充は旅行先の候補に入るための重要な条件であるものの、ベトナムが競争力を維持するには、滞在期間の延長や消費額の増加、再訪につながる独自の観光体験が必要だと指摘している。
同所長は、中国で普及するデジタルプラットフォームでの情報発信や航空会社・旅行会社との連携、中国語案内や決済環境の改善を進めるとともに、観光誘致の成果を実際の訪問者数や再訪率、消費額、滞在日数などで評価する必要があるとの考えを示した。








































