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世界で最も脆弱なデルタ地帯、メコンデルタ発展への挑戦

2024年12月20日(昨日)07時00分 公開
世界で最も脆弱なデルタ地帯、メコンデルタ発展への挑戦

<写真:vietnamplus.vn>

 

ベトナム南部のメコンデルタ地域は、気候変動や上流でのダム建設に伴う土砂供給の減少、塩害、地盤沈下、洪水、干ばつといった多くの課題に直面している。

 

この結果、同地域は世界で最も脆弱な5つのデルタ地帯の1つに位置付けられており、持続可能な発展への取り組みが急務となっている。

 

メコンデルタは約4万k㎡の広大な地域に約2000万人が暮らす、ベトナムの農業・水産業の中心地である。

 

国内輸出用コメの95%、輸出水産物の60%、果物の70%を生産するこの地域は、ベトナム経済の根幹を支えている。

 

しかし近年、塩害や干ばつ、洪水、海岸侵食、土砂の減少といった複合的なリスクが、食料安全保障や水資源、住民の生活基盤に深刻な影響を与えている。

 

こうした状況を受け、WWFベトナムは「自然と調和した生計(NbS)」を推進するプロジェクトを展開した。

 

自然洪水を利用した農業や水産業、堆積土砂の回復、洪水の水量調整といった取り組みが進められている。

 

例えば、アンザン省のチャースー森林周辺では、洪水調整や土砂堆積の回復を目指した農業技術が導入され、他の地域では洪水期を活用した持続可能な農業モデルが展開されている。

 

具体的には、洪水期の天然魚の養殖、蓮の栽培と魚の養殖の組み合わせ、深水稲の栽培と天然魚捕獲を組み合わせた取り組みが行われ、収益性の向上や雇用創出、肥料使用の削減といった経済的・社会的な効果をもたらしているという。

 

WWFのプロジェクトは環境面でも成果を挙げており、土壌肥沃度の改善、洪水調整機能の向上、生物多様性の保全といった効果を実現している。

 

浮稲の栽培モデルは、環境保護と持続可能な経済活動を両立する好例として注目され、収穫された浮稲は高品質な農産物として評価され、ヨーロッパ市場への輸出も拡大している。

 

また、沿岸部では「エネルギーグラス」と呼ばれる植物にも注目が集まっているという。

 

この植物は土壌改善や生態系保護に寄与するだけではなく、紙や手工芸品の原料として利用されており、新たな地域産業の可能性を示している。

 

エネルギーグラスは年間10トン/haの収量を誇り、農業経済に90億ドル(約1兆3877億1000万円)以上の付加価値を生み出す潜在力を持つとされる。

 

メコンデルタ地域の脆弱性を克服し、持続可能な発展を実現するためには、自然と調和した取り組みをさらに拡大させるとともに、市場ニーズに応じた製品開発、インフラ整備、技術支援が求められている。

 

気候変動や環境問題への対応は、経済発展と環境保護の両立を目指す長期的課題であり、メコンデルタ地域はその解決モデルとなる可能性を秘めている。

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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