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深刻化する笑気ガスの健康被害、若年夫婦が下半身不随に
<写真:cand.com.vn>
ハノイ市内に位置するバクマイ病院中毒治療センターでは、36歳の男性T氏と32歳の妻H氏が一緒に治療を受けている。
両名は約10か月にわたり、笑気ガス(N₂O:一酸化二窒素)を常習的に吸引しており、その結果として脊髄損傷による下肢麻痺や感覚障害など、深刻な後遺症に苦しみを抱えている状況である。
夫婦が笑気ガスを初めて試したのは、2024年末にホーチミン市のグエンフエ通りを訪れた際であった。
友人の勧めを受け、軽い気持ちで吸引したことが中毒のきっかけとなった。
その後、使用頻度は急速に増加し、1日に6〜8本(約240〜320個分の風船)を消費する日もあったという。
最終的には夫婦揃って歩行困難となり、同センターを受診した結果、N₂Oによる頸髄の深刻な損傷が判明した。
治療を担当したグエン・ダン・ドゥック医師によれば、現在両名は解毒処置および理学療法を含む集中的なリハビリテーションを受けているが、損傷の程度によっては完全な回復は見込めないとの見解が示されている。
同センターでは、近年になって笑気ガス中毒による若年層の患者が急増している。
中には20歳前後で四肢麻痺となり、MRI検査により脊髄の不可逆的損傷が確認された例も報告されている。
中毒治療センター所長であるグエン・チュン・グエン博士は「笑気ガスは無害な娯楽ではなく、極めて強力な神経毒である」と警告する。
N₂Oは神経系、血液系、生殖系に深刻な影響を与えるほか、特に神経系においては神経線維を保護するミエリンを破壊し、四肢麻痺や感覚障害、さらには呼吸停止を引き起こす危険性があるという。
また、記憶障害、うつ症状、情緒不安定といった慢性的な脳機能障害も複数報告されている。
N₂Oは依存性が高く、使用量が急速に増加する傾向にあるため、「隠れた麻薬」とも称されている。
ベトナム国内では、すでに医療目的以外での使用・販売は禁止されているが、若者を中心に密かな流通が依然として続いている状況である。
医師らは「笑気ガスには安全な使用量というものは存在せず、初回の使用であっても深刻な中毒を引き起こす可能性がある」と強調する。
その上で、過去に吸引経験のある者に対しては、手足のしびれ、筋力低下、歩行困難などの症状が現れた際には、速やかに医療機関を受診するように強く呼びかけている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。