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ベトナムのオンライン旅行市場、海外OTAが圧倒的な優位性を確立
<写真:tuoitre-vn>
ベトナムのオンライン旅行市場(OTA市場)は、Traveloka、Booking.com、Agodaといった海外企業が大半を支配しており、国内の旅行代理店は90億ドル(約1兆3481億6584万円)規模の市場で独自の生存戦略を模索している状況である。
調査会社Outboxが実施した「Travel Tech 2024」によると、海外OTAはブランド認知度、サービス利用率、コンバージョン率の全てで国内OTAを大きく上回っており、特にTravelokaは国内での認知度が82%、直近12カ月間の利用率が61%、認知から利用へのコンバージョン率が74%に達している。
海外OTAが優位に立つ要因は3つあり、幅広い商品ラインナップと価格競争力として、海外OTAはホテル、航空券、ツアー、保険といった多岐にわたるサービスを提供し、グローバル規模での交渉力を背景に、競争力のある価格を実現している。
これにより「旅行の総合スーパーマーケット」としての地位を確立している。
2つ目は先進的なテクノロジーであり、利用者はスマートフォンやPCを通じて数分以内に世界中のホテルや航空券を予約し、即時確認を受け取ることが可能である。
また、多言語対応やベトナム国内でのカスタマーサポート拠点も整備されている。一方、国内OTAの多くはプロセスの一部しか自動化されておらず、利用者が長時間待たされることも少なくない。
3つ目は豊富な資金力で、海外OTAは大規模なマーケティングキャンペーンを継続的に展開し、ホテルや航空券を事前に大量購入して価格を柔軟に調整することで市場競争をリードしている。
この資金力は先進市場の収益を新興市場での戦略投資に振り向けるグローバル戦略の一環でもある。
ベトナム国内OTAであるiVIVUやGotadiなどは一部の市場で存在感を示しているが、市場シェア全体では依然として小規模にとどまる。
国内OTAは伝統的な旅行代理店の一部門としてスタートしたケースが多く、資金調達が進まず市場から撤退する例も少なくない。
競争激化の中で、一部の国内OTAは市場のニッチ領域や国際的な提携に活路を見出そうとしており、例えば、Tugoは低価格ツアーから高級旅行に軸足を移し、特定層に向けた「プレミアムツアー」などで差別化を図っている。
一方で、OTA全般が直面する課題として、利用者のブランド忠誠度の低さが挙げられる。
消費者は複数のプラットフォームを比較し、最もお得な選択肢を求める傾向が強いため、価格競争と顧客満足度の向上が不可欠となっている。
また、パンデミック後には利用者がホテルなどの提供元に直接予約を行うケースも増加しており、この傾向を受けた大手ホテルチェーンが独自の予約システムを強化する動きも見られる。
さらに、香港発のKlookや中国のTripといった新興OTAが市場に参入し、存在感を高めており、特にKlookは現地チームを通じた地域密着型サービスを展開して、ベトナム市場での成長を目指している。
市場全体の成長が見込まれる一方、伝統的な旅行代理店もOTA市場への適応を迫られており、技術革新と経営戦略の再構築が急務である。
ベトナムのOTA市場は、2025年までに90億ドル(約1兆3481億6584万円)規模に達すると予測されており、海外OTAの圧倒的な優位性が続くとみられる。
しかし、国内OTAも市場の隙間を埋める形で存在感を高めており、長期的な競争力強化に向けた取り組みが期待される。ベトナム市場における競争は、グローバル企業と国内企業双方にとって重要な試金石となる。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。