ベトナム人観光客が海外旅行に殺到、国内観光業は収益減を懸念

＜写真：dantri-com-vn＞

ベトナムでは国内航空券の価格が高騰するとともに、海外旅行市場が活況を呈しているため、旅行業者は今夏の国内観光が期待通りにいかないことを懸念している。

夏は常に観光のピークシーズンとされているが、複数の旅行会社によると、2024年の夏は国内ツアーを選択するベトナム人観光客の数が増加していない。

特に多くの観光客がタイを中心とした海外ツアーを選択する傾向が見られる。

地元メディアの取材では、多くのベトナム人観光客が、国内の多くの場所をまだ旅行しておらず、自国をもっと探検したいと語っている。

しかし、現時点ではタイなどの海外旅行の方が費用面で適しているとの声が多い。

旅行会社のVigotourでは、1人あたり約750万ドン（約4万6117円）の6月と7月のタイツアーが既に満席となっており、新しいツアーの追加が必要となっている。

他の旅行会社でも、5日間4泊のタイツアーは680万ドン（約4万1812円）からの価格で購入可能である。

一方、3日間2泊のフーコックツアーは約400万ドン（約2万4595円）、ダナン・ホイアンツアーは約540万ドン（約3万3204円）となっている。

ホーチミン市タンビン区在住のアンさんは、当初、友人とダナン・ホイアン・フエへの夏の旅行を計画していたが、費用を調べた結果、タイ旅行を選択した。

旅行期間が長くても費用の差は200万ドン（約1万2297円）未満であったという。

旅行会社TSTtouristによると、2024年夏のピーク時期には、ベトナム人観光客の海外旅行の割合が国内ツアーを上回っている。

その要因の1つとして、家族グループによる個人手配の海外旅行が増加していることが挙げられる。

また、ベトナム人観光客が海外旅行を好むのは、観光地のプロモーションや各国の優遇政策などが影響している。

特に、海外ツアーの価格が国内ツアーと接近していることが、ベトナム人観光客が海外旅行を選ぶ要因の1つである。

人気観光地は東南アジアの国々に集中しており、特にタイが多く選択されている。次いでシンガポール、マレーシア、インドネシア・バリ、中国などが人気であるという。

旅行会社Đất Việt Tourによると、2024年の国内観光は活況を呈しているが、爆発的ではない。国内で人気の観光地は、ビントゥアン、ホーチャム、ニャチャンなど、航空路を避けることが可能な場所となっている。

また、航空券価格が高騰した影響で、北部や中部の観光地、特にクイニョンへの観光客が前年同期比で減少しているという。このため、国内観光業は収益減の懸念に直面している。

さらに、国内ツアーが低迷している理由の1つとして、ベトナムの主要観光地が長年にわたり刷新されていないことが挙げられる。これにより、観光客が再訪する動機が減少している。

地方のサービス提供や連携政策が不合理であることも問題であり、ある観光地の入場料は1万5000ドン〜2万ドン（約92〜122円）である一方、他の場所では10万ドン以上（約614円）必要となる。

投資が多い場所では高い料金が必要であるが、この差が観光客の選択に影響を与えているという。

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