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社会保険料引き下げのジレンマ、年金の維持が困難
<写真:baotintuc.vn>
ベトナムでは社会保険料の負担を軽減するために、社会保険料率を引き下げることを求める企業団体の声が高まっているが、社会保険料率を下げると老齢年金の受給額も減少するという問題がある。
企業は従業員の賃金の22%、従業員は賃金の8%を社会保険に拠出している。このうち老齢年金に充てられるのは14%である。
ベトナムでは13の企業団体が社会保険料率を引き下げることを政府に提案しており、社会保険料の負担が重く、企業や従業員の収入に影響を与えていると主張している。
現在、男性は60歳以上、女性は55歳以上であれば、20年以上の社会保険加入で老齢年金を受け取ることが可能であり、受給額は社会保険に加入した期間と平均賃金に基づいて計算される。
例として男性が60歳で退職し、35年間社会保険に加入していた場合、平均賃金の75%が老齢年金となるが、社会保険料率が下がれば平均賃金も下がり、老齢年金も減少することになる。
また、社会保険法改正案では、社会保険に加入する期間を20年から15年に短縮することが提案されている。
これは多くの人が20年間社会保険に加入できない現状を考慮したものであるが、これによって老齢年金の最低受給額も下がり、男性は平均賃金の33.75%、女性は45%しか受け取れなくなる可能性がある。
一方で、社会保険料率を下げなければ、社会保険制度自体が危機に直面する恐れもある。
ベトナム国家監査院は最近発表した報告書で、2023年までに社会保険基金が赤字に転落し、2050年までに破綻する可能性が高いことを警告した。
これは高齢化や非正規雇用者の増加などによって社会保険基金への拠出者数が減少し、一方で支出者数が増加しているためである。
このような状況下で社会保険料率をどのように調整するかが政府や国会の重要な課題となっている。
社会保険料率を下げれば企業や従業員の負担は軽減されるが、老齢年金の受給額も減少し、将来の生活が困難になる可能性があり、社会保険料率を維持すれば老齢年金の受給額は保護されるが、社会保険制度自体が破綻する危機に直面する可能性がある。
このジレンマを解決するためには、中央政府と地方政府、企業と労働者、現役世代と高齢世代など、さまざまな利害関係者の協力が欠かせない。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。