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銀行業界が過去最大の人員減、デジタル化とAIによる構造変化

<写真:thesaigontimes.vn>
国内28銀行の2025年上半期財務報告によれば、総従業員数は約28万人であり、年初から約3000人減少した。
これは近年の同時期として最大の減少幅である。
特に小売銀行での削減が目立ち、LPBankは約18%にあたる1986人を削減し、VIBは1186人、Sacombankは1158人をそれぞれ減員するなど、大幅な人員整理が実施された。
背景にはデジタル化と業務構造の変化がある。
銀行戦略研究者のレー・ホアイ・アン氏によれば、多くの銀行は個人向け融資業務を自動化し、企業向け融資へとシフトしている。
eKYC(オンライン本人確認)やローン申請の自動化によって、窓口業務や事務処理の人員は不要になりつつある。
AIの影響は欧米で先行して顕著化しており、ベトナムではまだ初期段階にあるが、今後3年以内に本格化すると見込まれる。
国際労働機関(ILO)の試算では、世界の約2.3%の雇用が完全自動化可能であり、2030年には人間が担う業務の割合が現行の47%から33%へ低下すると予測される。
アン氏は「AIによる労働生産性向上は従来の5倍に達し、雇用増加では吸収しきれない」と指摘する。
一方、AI導入はビッグデータやサイバーセキュリティなど新たな職種需要も生み出す。
UOBベトナムのディン・ドゥック・クアン氏は「人間ならではの対人能力や営業力は依然不可欠」と強調し、技術と顧客をつなぐ人材の役割の重要性を述べた。
シンガポールのDBS銀行は2025年初頭、AI導入を理由に3年間で約10%の人員削減計画を発表した。
ベトナムでも2027年までに全銀行で同規模の削減が生じる可能性があると予測される。
現時点では削減よりも労働生産性向上を目的とした再教育が中心であるが、業界は確実に転換期を迎えつつある。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。