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カメ鍋・焼き雀・猿の脳、野生動物食文化に揺れるベトナム

<写真:baohaiphong.vn>
ベトナムではカメ鍋や焼きスズメといった野生動物を食材とする料理が提供されており、これに対して外国人居住者の間で驚きや戸惑いの声が広がっている。
このような食文化は、伝統や健康への信仰を背景に根強く残っているが、環境保護や公衆衛生の観点から国内外で問題視されつつある。
ある外国人男性は、ベトナム人の友人にカメ鍋を振る舞われた際に、調理風景を動画で見て大きな衝撃を受けたと語っている。
野菜やキノコとともに鍋に入れられるカメの部位が映し出され、「文化的なショックであった」と振り返る。
他の外国人男性もハノイ市でコウノトリやカメの肉を勧められ、困惑したという。
同男性の母国では、宗教的・文化的背景から多くの動物が禁忌とされており、野生動物の食用はほぼ見られない。
このような野生動物を食べる習慣は、ベトナムの一部で滋養強壮や特別なもてなしとされてきた背景がある。
ベトナムでは希少な肉を振る舞うことは、来賓への敬意を示す意味があり、クマの胆汁や猿の脳、野鳥の肉などを「食べれば効く」とする信仰も根強く残っている。
しかし、こうした習慣に対しては批判の声も増加している。
あるベトナム人男性は「時代遅れで野蛮な習慣」と厳しく指摘し、自然破壊と感染症のリスクに懸念を示した。
実際、ベトナムにおける野生動物の消費は依然として高水準にあり、TRAFFICの調査(2021〜2023年)によれば、ハノイ市民の47%が野生動物由来の製品を使用した経験があり、そのうち82%が食用であった。
ホーチミン市でも約51%が何らかの形で野生動物を消費していたとされる。
さらに、2024年に環境教育センター(ENV)が行った調査によると、ハノイ市とホーチミン市の飲食店125軒のうち、それぞれ42%と24%が野鳥料理を提供していた。
中には「チム・トー・ザン(=徐々に大きくなる鳥)」と称し、スズメからサギ、野鴨に至るまで多種類の野鳥を一度に楽しめるメニューも存在している。
このような状況に対し、ホーチミン市在住の外国人男性は「野生動物を食べる文化は他国にも存在するが、ベトナムではその規模と頻度が懸念される」と語る。
多くの専門家が、野生動物が感染症の媒介となるリスクを警告しており、公衆衛生上の重大な問題として認識されつつある。
米国の環境疫学者によれば、不衛生な環境下での狩猟、流通、調理が人獣共通感染症の温床となる。
現在、ベトナムでは野生動物の違法取引や消費に対する法令が整備されており、重大な違反に対しては最長7年の禁錮刑が科される。
また、若年層を中心に啓発活動も活発化しており、野生動物の消費抑制に向けた意識の変化が徐々に見られている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。