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対ロシア制裁、ベトナムの輸出に支障
〈写真:VnExpress〉
欧米諸国がロシアに課している制裁措置により、ベトナムの輸出受注と取引に遅れが生じている。
Phuc Sinh社のPhan Minh Thong代表は、ここ数日、ロシアとヨーロッパの顧客と連絡を取り、注文と取引の遅れに対処している。
同社は年間約3000万ドル(約35億円)相当のコーヒー、胡椒などの農産物をロシアに輸出しているが、先月ロシアがウクライナを攻撃し、その後欧米の制裁が始まってから同社の輸出注文は停止されている。
ロシアの一部銀行が決済ネットワークシステム「SWIFT」から遮断された後、ルーブルの切り下げと取引の遅れにより、ロシア向けの注文額は半減した。
Thong代表によると、ロシアやヨーロッパのパートナーも制裁のために同様の問題に直面しており、ベトナム国内でも困難な状況に陥っているのは同社だけではない。
ロシアに野菜や果物を輸出している別の企業も、物流上の問題から注文を中断せざるを得なかったという。また、ベトナムの銀行とその提携先はSWIFTを使用しているため、ロシアへの輸出伝票は銀行から拒否されている。
国際的な物流会社は軒並み商品を受け取ることができず、ロシアへのフライトも制限されている。注文は遅れ、支払いは不可能な状態となっている。
税関のデータによると、2021年のベトナムの対ロシア輸出は貿易額で約32億ドル(約3680億円)、輸入が約23億ドル(約2640億円)を記録した。ロシアへの主な輸出品は、コンピューター、部品、電話、繊維製品、コーヒー、電気製品などである。
ウクライナについては、ベトナムとの貿易額は10億ドル(約1150億円)未満であるが、同国は常にこの地域の伝統的な商業パートナーである。2021年、両国間の貿易高は7億2050万ドル(約828億円)に達し、2020年から51%増加した。ウクライナへの主な輸出品は、コンピューターや靴などである。
産業貿易省傘下の欧州・アメリカ市場局によると、制裁の中でベトナムは生産、貿易、物流、支払いに影響を受けるという。また、ロシア、ウクライナ、ベラルーシなどの関連市場とのビジネス協力も影響を受けるとしている。
同局の担当者によると、この危機は、短期的にも長期的にも、経済、商業、金融、グローバルサプライチェーンに包括的かつマイナスの影響を与えている。
まず影響を受けるのは燃料や原材料の供給で、ロシアとウクライナ双方の主要産品である石油やガス、小麦粉、アルミニウム、ニッケル、トウモロコシの価格高騰の主な要因の1つがこの危機である。
ロシアとの商取引契約の支払いも、欧米の制裁によりルーブルの切り下げも起き困難となっている。ロシアの輸出業者数社は、2〜3週間程度、支払いを停止して様子を見ることを提案している。
ベトナムからロシアへの商品の配送を拒否する船会社もあり、輸送の遅れがさらに進めば輸送料も高騰する。
また、航空輸送に対する制裁により、航空会社は代替便の選択を余儀なくされ、グローバルな物流システムのコストと負担が増加し、製品価格も上昇している。いくつかの企業では、輸送コストの増加により利益が出なくなる可能性があると述べている。
ルーブルの切り下げはロシアの輸出能力にも支障をきたし、企業は戦略の再考を迫られることになる。
同局は、ベトナムとロシアの二国間貿易は、西側諸国が制裁強化を決めた場合、悪影響を免れることはできないと指摘する。両国に製品を輸出している企業は、支払いや納品に関して輸入パートナーと頻繁に連絡を取り合う必要があると警告している。
Phuc Sinh社のThong代表は、ロシアに輸出しようとしている企業は、他の市場で製品を販売すればよいと述べた。同局は、利益を最大化し、市場を多様化するために、ベトナムと他の国々の間の自由貿易協定を利用するよう企業に促している。
先月の閣議で、ファム・ミン・チン首相は、ロシア・ウクライナ紛争がもたらす影響に対応するための特別チームを編成するよう指示をした。
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