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女性バイク運転手「ストリート忍者」、衣服や視界不良が事故原因に
〈写真:VnExpress〉
ベトナムでは多くの女性がバイク運転時に全身を覆う服装やアクセサリーを着用しており、それが原因による事故が度々発生している。
クインさんはバイク通勤する際には必ず日焼け止めを塗り、チュニックで脚を覆い、サングラス、長い手袋、マスクを着用する。
クラクションが聞こえてもフードが左右の視界を遮って何も見えず、近視であるためにサングラスをかけるとバックミラーもよく見えない。
危険であることは承知しつつも、日焼けを極端に嫌い、外出の際には必ず全身を覆う衣服を着用する。
ホーチミン市1区在住のホアさんは、日除けとして着用していた長いチュニックが後輪に巻き込まれ大怪我をしたことがある。
誰もいない道路を運転していたところ、後輪に巻き込まれたチュニックによって突然後方に引っ張られ、転倒して道路に頭を打ちつけたという。
ベトナムでは、クインさんやホアさんのように頭からつま先まで覆われた姿で二輪車を運転する女性を「ストリートニンジャ」と呼んでいる。
フェイスマスク、パーカー、サングラス、手袋、チュニックは、日焼けを嫌う多くのベトナム人女性にとって運転時の服装に欠かせないものとなっているが、こうした服装によって多くの事故が引き起こされている実態がある。
ベト・ドゥック交通研究センターのブー・アン・トゥアン博士は、「ストリートニンジャ」と呼ばれる服装では道路上での反応速度が低下し、事故の危険性が高まると指摘する。
ハノイ市の交通警察のチャン・クアン・チン氏によると、同部門では今年の夏だけで「ストリートニンジャ」が原因の事故が6件発生している。
衣服が絡まりドライバーが主要道路で突然転倒した場合、大型トラックや乗用車との重大な事故が発生する可能性がある。
ゲアン省では6月21日に走行中であった女性の衣服が車輪に絡まりバイクが転倒する事故が発生した。
その数日前にはダナン市中心部でチュニックが車輪に絡まりハンドルに手を挟まれ、腕を骨折する事件が発生している。
タインホア省のワインさん(28)は、4月末に「ストリートニンジャ」が原因による交通事故で妹を亡くした。
ワインさんの妹は後続車を避けようとした際に、衣服が原因で道路に転倒し、後続車に巻き込まれて死亡した。
ハノイ市在住のアインさんは、「ストリートニンジャ」が怖いと話す。
「ストリートニンジャ」の近くで運転することは非常に危険であるが、夏はどこへ行っても「忍者」が出没するため、避けることは不可能であるという。
同市コウザイ区で日焼け止め用の服装を販売するビンさんによると、日焼け止め用の服装は、ファッションアクセサリーの意味合いも強くなっており、多くの顧客が購入に訪れる。
ビンさんは、裾幅が広くて車輪に絡まりそうであったり、運転の邪魔になりそうなデザインであっても、着用するかしないかは顧客次第であるため、一切安全に関する説明は行わないという。
交通警官の担当者は「ストリートニンジャ」は自分だけではなく他人にも危害を加える可能性があるとして安全を呼びかけている。たとえ衣服が引っかかっていなくても、路上で衣服を直したり調整したりするために屈めば、運転手がコントロールを失い道路に転倒する可能性がある。
クインさんは、視界不良で転倒した後にサングラスの着用は諦めたが、「女性にとって肌はとても大切、日焼け防止用の服は絶対に必要」として他のアクセサリーの着用は続けている。
一方でホアさんは、「二度と事故を起こしたくない」として、長袖のズボンを着て出勤し、会社のトイレでスカートに着替えるという。
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