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ベトナムの観光に「安い」はもう関係ない?

2023年04月17日(月)17時03分 公開
ベトナムの観光に「安い」はもう関係ない?

<写真:Tuoi Tre>

 

2012年にブンタウを旅行した外国人旅行者のレイさんによると、以前は67ドル(約9000円)で最も優れたホテルに宿泊して旅行を楽しむことが可能であったが、10年経った今ではベトナム全土でハイエンドな観光が当たり前になり、主要な観光地では新しい開発が常に進められている。

 

バリア=ブンタウ省にあるホーチャム観光地区は、ワールドクラスのリゾートが大量に開発されて爆発的な人気を博し、国内外のゲストがラグジュアリーな休暇を楽しむ場所となった。

 

ベトナム国内大半のリゾートが自己完結型であり、外国人旅行者は英語以外の言語でコミュニケーションを取る必要がなく、食事や基本的なサービスに関しても安全な選択肢であることが魅力となっている。

 

ワールドクラスのゴルフ場やテーマパークやアトラクションも多く建設され、ハノイ市やホーチミン市にある伝統的な通りを歩くだけの観光時代は終わり、様々な地方でも外国人向けの旅行サービスが体験可能である。

 

フーコック島もそのひとつで、家族で何日も楽しめるアトラクションや体験を提供する開発が行われており、これはベトナムの新しくモダンな観光の形であるが、同時に代償も伴っている。

 

かつて外国人観光客としてベトナムを訪れることの意味は、ベトナムの文化に触れるということであり、その生の文化の中で地域社会が日常的に使っているサービスのローカルプライスやシェアリングが観光客と共有されていた。

 

ベトナムは基本的にベトナム人のことを考えて設計されており、何十年にもわたって国際観光という考え方は地元の観光市場を強く維持するための付加的なものにすぎなかった。

 

過去20年ほどの間に休暇に新たな焦点が当てられるようになり、ベトナムの休暇といえば、ダラットやファンティエットといった地方に滞在し、地元住民と同じものを体験するといったものであったため、休暇の費用は訪問先地域の非常に安価な経済状況に関連していた。

 

現代のベトナムはリゾートモデルによる休暇を容易に享受することが可能で、値段は高いが、素晴らしい体験であり、ベトナムのようなのどかな場所で贅沢な休日を過ごしたい人にとっては安全な選択肢となる。

 

しかし、世界的に有名であった格安観光が消滅してしまう可能性があり、バックパッカーを含む旅行者に「ベトナムでは1日数ドルで生きていける」と知られていた世界はなくなりつつある。

 

ホーチミン市のブイビエン通り等も「バックパッカー通り」として親しまれていたが、現在は変貌を遂げ、旅行者がビールを楽しみ、パーティーをするための最も安い場所とは見なされなくなった。

 

ベトナムの深い文化や精神を体験できる様な機会は失われつつあり、実際に生のベトナム体験を選択する人は減少している。1泊12ドル(約1600円)のホテルや0.75ドル(約100円)のバインミーを朝食に選ぶ人、ベトナムの文化について学び、散策することを選ぶ人、道なき道を行く人は既に稀である。

 

レイさんによると、ベトナムは玉ねぎのようであり、同国の真髄を知るためには一枚一枚、ゆっくりと剥いていかなければならない。そして、最終的にやっとベトナムの真髄を感じることが可能であるという。

 

レイさんは「温かいビールと氷のグラス、街角のブンボーが人々の旅行体験であり続け、ベトナムの真の心が外界から失われないことを願っている。ベトナムの愛と美しさは見知らぬ外国人旅行者と一瞬を共有できたことに喜びを感じる子どもの笑顔以上のものはない」として、ベトナムを訪問する旅行者が同国の真の心を体験する機会が失われないことを切望している。

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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