ベトナムがゲーム大国として台頭

＜写真：Tuoi Tre＞

近年、ベトナムでは多くの地元企業がオンラインゲームの開発やリリース、取引を行なっており、ゲーム産業の新たな大国としての地位を築き上げている。

7月末にグーグルがホーチミン市で開催したイベント「Google Think Apps 2023 - Build the Future」は、過去10年間に東南アジアで開催されたイベントとしては最大規模であり、ベトナムのアプリ、特にゲーム産業の重要性を強調した。

米国のDataAI社とAPPMagic社が共同で発表したレポートによると、同国の国内デベロッパーによるアプリのダウンロード数は、2019年には世界15位だったが、今年の第1四半期には42億に達し、トップ5に入った。

また、2022年に10万回以上ダウンロードされたアプリの上位50社中、ベトナム企業は4社もランクインしている。

ブルームバーグの評価によると、同国は2023年上半期のダウンロード数を基に、モバイルゲーム制作で世界トップ5に位置しているという。

国内の技術企業VNG Corporationは、2019年以降、南アジアや南米、東南アジアのゲーマーを中心に、2億6100万回のダウンロードを記録しており、同社が開発した「Dead Target」は、ダウンロード総数が1億5500万に達した。

世界的に有名な音楽ゲーム「Magic Tiles 3」と「Tiles Hop」を手掛ける音楽ゲーム開発企業Amanotesは、その製品の総ダウンロード数が29億を超え、190以上の国や地域で利用されている。

ホーチミン市を拠点とするゲームスタジオTopeboxも、80以上のゲーム製品を世界市場で取引しており、「Pocket Army」は米国の収益ランキングで上位にランクインした最初のベトナム製ゲームとして注目を浴びた。

GOSU Online Corporationのグエン・チョン・ミン氏によると、ベトナムにはグーグルやメタ、マイクロソフトといったハイテク大手で働く優秀な人材が多数存在し、ゲーム分野の力強い発展がこうしたエンジニアにとって理想的な環境を作り出している。

国内のゲーム企業はゲーム生産における労働力開発の計画を実施しており、VNG社はハノイ科学技術大学、ホーチミン市工科大学、ホーチミン市のトンドゥクタン大学などの大規模な大学と協力しているという。

しかし、同国のゲーム業界には課題に直面しており、多くのゲームメーカーが自社製品の規模や品質が海外の競合企業に及ばないことを認識している。

Wolffun Game社のグエン・ディン・カイン氏は、ベトナムのゲームが世界でよくダウンロードされているにもかかわらず、ゲームの複雑さやグラフィック、品質の面で大手企業に劣るとの見解を示した。

VNGのケリー・ウォン副社長も同様の見解を示しており、特にロールプレイングゲームのような複雑なゲーム開発に関する経験が不足していると指摘する。

ウォン氏によると、ゲーム開発のコストや時間の制約から、開発のリスクは映画制作などよりも高い。

また、専門家らは政府がまだゲーム制作を優遇する政策を打ち出していないことや、ゲーム開発とリリースを同等に扱っていない点に懸念を示している。

情報通信省放送・電子情報局のレ・クアン・トゥー・ドー局長は、ベトナムゲームフェスティバル2023において、ゲーム業界の最大の課題は協力の不足であると指摘した。

過去の経緯を見ると、多くのゲーム企業やスタジオが独立して動き、その結果として連携の機会を逸しており、開発者と出版者の間で経験やリソースを共有することが難しく、互いの強みを生かせないでいた。

同省はこれを解決するため、外国の投資家や企業を引きつけるための同盟を結成しており、中国や韓国、米国などから多くの企業がベトナムのゲーム市場に投資の機会を求めているという。

ベトナムはゲーム業界の売上を10億ドル（約1455億650万円）に増加させ、ゲーム関連の企業数を150社に拡大することを目標に掲げており、不合理な税金や手数料の削減、行政手続きの簡素化などの取り組みを検討している。

Wolffun Game社のカイン氏は、同国がゲーム産業の規模と質を向上させるためには、先進国のようにゲームデザインやデータ分析の教育を強化すべきであると指摘するとともに、ゲーム産業に投資することの重要性や同分野の教育機関の不足を強調した。

2022年のデータによると、同国のモバイルゲームユーザーは東南アジアで3位となる5460万人であったが、収益は5億700万ドル（約737億7230万円）と控えめであった。

これに対し、タイはユーザー数が3830万人でありながら、収益は7億6300万ドル（約1110億2200万円）に達しており、近い将来、ベトナムのゲーム収益はこの趨勢を維持し、タイにさらに大きな差をつけられる可能性が高い。

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