おすすめのプロモーション
AI活用のズル事例が増加、ベトナム教育現場の深刻な課題

<写真:nguonluc.com.vn>
ベトナムの中等教育において、生徒がAIによって生成された解答をそのまま課題に転用する事例が増加している。
ハノイ市内の中学校では、中学2年生が高校3年生レベルの微分法を用いて数学の問題を解き、AIの利用が明らかとなった。
このような事例は一部にとどまらず、教育現場全体に広がる傾向が見られている。
国語の授業においても、文体が過度に洗練されていたり、使用語彙が年齢にそぐわなかったりするなど、不自然な答案が散見されている。
教師らは、これらがAIによる文章生成の影響とみて警戒を強めている。
特に中高生に多く見られ、学業成績が中程度の層を中心に、課題の量や成績に対する圧力から、AIを「近道」として利用する傾向が強まっているとされる。
教育専門家は、AI乱用の背景に3つの要因があると指摘する。
第一に親や教師からの過度な期待による精神的なプレッシャー、第二にAIの仕組みに関する理解の不足、第三に学校におけるAI利用に関する倫理的・法的ルールの未整備である。
このようなAIの利用は、生徒の思考力や理解力の低下を引き起こす懸念がある。
答えを得ることそのものに集中するあまり、思考の過程や問題の本質を理解しようとする姿勢が失われ、自立した学習態度が育まれにくくなる可能性がある。
こうした状況に対して、教育関係者はAIの利用を一律に「禁止」するのではなく、「適正な指導」を通じて活用を促すべきであると提言している。
AIを完全に排除することは現実的ではなく、むしろ教師がその機能や限界を理解し、生徒に対して建設的な使い方を教える必要がある。
たとえば、解法のヒントを得るための質問の仕方など、学習を補助する手段としての使い方を指導することが求められる。
また、端末の使用を制限した教室内試験の実施や、解答の過程を説明させる課題の導入などにより、生徒の実力を正確に評価する取り組みも必要である。
さらに、保護者との連携によって、生徒の学習行動を家庭で見守り、技術に過度に頼ることなく学ぼうとする姿勢を育てる支援が重要となる。
長期的な対策としては、学校がAI利用に関する明確なガイドラインを策定することが不可欠である。
その上で、教員や保護者を対象とした研修を実施し、AIリテラシーをカリキュラムに組み込むことも求められる。
AIは使い方次第で、学習を支援する有益なツールにも、思考力を奪う危険な手段にもなり得る。
教育における技術との調和を図る上で、教師の役割はこれまで以上に重要なものとなっている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。