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ハノイ西南部の深刻な浸水被害、排水インフラ整備の遅れが顕在化

<写真:baotintuc.vn>
8月末に発生した台風カジキの影響により、ハノイ市西南部のナムトゥーリエム区、ハドン区、ホアイドゥック郡、クォックオアイ郡などで大規模な浸水被害が発生した。
被災地域の一部では交通機関の全面復旧までに1週間以上を要する事態となった。
この浸水被害について、給排水および環境分野の専門家であるグエン・ドゥック・ハー教授は「急速な都市化と気候変動に対して排水インフラ整備が追いついていない」と指摘している。
中でも象徴的な事例が、総排水能力125㎥/秒を誇るイエンギア排水ポンプ場の整備の遅れである。
本来稼働可能であるはずの同ポンプ場は、導水路ラケーの用地取得が進まず、工期の度重なる延長を余儀なくされている。
導水路が未整備のため、「ポンプ場があっても水が届かない」状況が続いている。
ハノイ市では従来、1日あたり300mmの降雨を想定して排水設計が行われていたが、近年は400mmを超える豪雨が頻発しており、既存の排水システムでは対応困難となっている。
特に新興住宅地では排水設備の整備が追いつかず、旧市街のインフラに過度な負荷がかかっている状況である。
こうした中、イエンギアに加え、リエンマック排水ポンプ場の早期整備と稼働が求められている。
リエンマックは紅河からの取水とヌエ川への排水を担う予定であり、最大排水能力は170㎥/秒に達する計画である。
これは現行の主力施設であるイエンソー排水場の2倍に相当する。しかしながら、現時点では着工すらなされていない。
排水機能の全体的な向上に向けては、既存ポンプ場の能力増強に加え、調整池や地下貯水槽の整備、透水性舗装の導入、地域間での排水管理体制の連携強化など、多角的かつ包括的な対策が不可欠である。
特に地盤の低いチュオンミー街区やミードゥック街区では、乾季には空地として活用し、雨季には一時的に貯水機能を果たす「乾式調整池」の導入が有効とされている。
ハー教授は「先に道路や住宅が建設され、その後に排水インフラを整備するという現行の順序を見直し、都市計画段階から排水対策を組み込むべきである」と強調する。
なお、同様の課題はハノイ市に限らず、フーコック市、ダナン市、ダラット市など他の都市でも顕在化しており、全国的な都市インフラ政策の見直しが急務となっている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。