おすすめのプロモーション
住宅価格高騰や教育・医療費負担、結婚・出産意欲を阻む社会的課題
<写真:viettimes.vn>
9月23日、ベトナム社会科学院傘下の社会学・心理学研究所が「ベトナムの出生率:現状と政策的対応」をテーマとするシンポジウムを開催した。
専門家らは住宅価格の高騰や教育・医療費の負担が若者の結婚および出産をためらわせる大きな要因となっていると指摘した。
ハノイ文化大学のグエン・ティ・タイン・トゥイ講師によれば、ベトナム全体の合計特殊出生率は1.91と、人口維持に必要とされる2.1に近い数値を保っている。
しかし、都市部では著しく低下しており、ホーチミン市では1.39、東南部地域では1.56にとどまっているという。
また、若年層の間では独身を選択する傾向が強まり、単身世帯の割合は1999年の11%から2019年には14.3%に上昇した。
都市部における住宅価格の上昇、不安定な雇用環境、そして育児費用の増加などが、家庭を築くことへの大きな障壁となっている。
トゥイ講師は「経済的安定が得られない限り、多くの若者は結婚や出産に踏み切ることができない」と述べ、社会保障制度の再設計や、低金利・長期返済型の住宅ローン制度、さらに子育て支援策の拡充が必要であると強調した。
さらに、保健省人口局のグエン・タイン・トゥン氏は、出生率の低下が将来的に国家の持続可能な発展を脅かす恐れがあると警鐘を鳴らした。
ベトナムでは2022年に出生年齢層(15〜49歳)の女性人口がピークに達しており、今後は人口構造の転換期に突入すると見られている。
専門家らはスウェーデンなど北欧諸国に倣い、育児休暇制度の拡充や男性の育児参加を促す施策、公的保育・医療支援の強化など、包括的な福祉政策の導入が急務であると訴えた。
経済的支援にとどまらず、若者が安心して家庭を築ける社会環境の整備こそが、長期的な出生率改善の鍵であると結論づけられた。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。