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中国系小売ブランド、ベトナム若年層の間で急拡大
<写真:tuoitre.vn>
中国発の小売ブランドが、ベトナム市場において急速に存在感を高めている。かつて「安価で品質に疑問が残る市場向け商品」と見なされていた時代とは異なり、現在ではトレンドを取り入れた商品構成や体験型店舗を前面に押し出し、都市部の若者や家族層を中心に高い人気を集めている。
市場調査会社CBREベトナムによる2025年第3四半期レポートによれば、茶葉ブランド「Chagee」、ライフスタイル雑貨「KKV」、トイブランド「Popmart」などの中国発ブランドが、ホーチミン市の大型商業施設や住宅密集地において続々と店舗を展開している。
旗艦店の1つであるビンコムドンコイにある「Oh!Some」は、平日の夜でも若年層の来店客で賑わいを見せている。
これらのブランドは、ECモールと同等かやや高めの価格帯を設定しつつ、洗練された店舗ディスプレイと豊富な商品ラインナップによって購買意欲を刺激している。特にKKVは、中国ブランドの化粧品を前面に押し出し、照明や配色の工夫によって購買体験の質を高めている。
また、商品販売にとどまらず、クレーンゲームやブロック遊びなどのエンターテインメント要素を店舗内に取り入れることで、来店客の滞在時間を延ばす工夫がなされている。これにより、単なる物販を超えた「体験型消費」が促進されている。
この背景には、米中貿易摩擦を契機として、中国企業が東南アジア市場を代替的な成長先と位置づけたことがある。中国企業は、素材調達から製造までを自国内で完結可能な強固な生産体制を活用し、ベトナム市場への本格的な参入を加速させている。
一方、地場企業はこうした動きによって競争の激化に直面している。ベトナムの靴ブランドVina Giàyのヴー・ヴァン・ラン氏は「高所得層は高価格帯ブランドを選好するが、中・低所得層はコストパフォーマンスに優れた中国製品を選ぶ傾向がある」と述べた。
また、食品大手KIDOグループのトラン・クオック・バオ副社長は「直近6カ月間で20件を超える中国の貿易使節団と会談した」と明かし、中国企業のベトナム市場に対する関心の強さを指摘している。
このような環境下で、KIDOはAI技術を活用した販売・マーケティングの強化に乗り出している。同社は5000人のオフライン営業担当者と3000人のオンライン担当者に加え、AIアバターを活用したライブ配信を導入し、販売ネットワークのハイブリッド化を推進している。
消費者の行動にも変化が見られる。特にTikTokなどのSNSの影響により、若年層の間では中国製品に対する心理的抵抗感が薄れ、流行やビジュアルを重視した消費スタイルが定着しつつある。
中国のトイブランド「Popmart」は、K-POPアイドルの影響もあり一躍人気となり、限定版商品の発売日には行列ができるほどの盛況ぶりを見せている。
ベトナム税関総局によれば、10月中旬時点における同国の貿易総額は約7188億ドル(約109兆5451億円)に達しており、対中貿易がその中で最大の割合を占めている。中国からの輸入額は1179億ドル(約17兆9680億円)で、輸出額の約3倍に相当する。
この傾向が継続すれば、2025年通年の対中貿易総額は過去最高の2050億ドル(約31兆2000億円)を超える可能性があると専門家は予測している。
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