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横行する偽化粧品の流通、ベトナム全土で皮膚被害が多発
<写真:hcdc.vn>
ベトナム国内で、偽造あるいは不正に輸入された化粧品による健康被害が深刻化している。
特にホーチミン市およびハノイ市の皮膚科病院では、偽化粧品や出所不明の製品を使用したことによる重度の皮膚障害が多数報告されている。
保健省および公安当局は、ここ数年にわたり大規模な偽化粧品の製造・流通ネットワークの摘発を相次いで実施してきた。
中でも注目されたのは、Mailisa美容院グループに関連するMK Skincare社が関与した事案である。
同社の経営者夫妻は、中国・広州から仕入れた低品質の化粧品を香港産と偽装し、偽の証明書を取得して国内市場に流通させていた。
これらはMailisaブランドの主力商品の一部に過ぎなかったが、不正収益は数千億ドンに上ったとされる。
ホーチミン市では、VichyやMy Gold Korea Red Ginsengといった著名ブランドの偽造品が押収され、生産機械や原材料も併せて摘発された。
また、北部バクザン省では、ECサイト「Shopee」や「TikTok」を通じて10万件以上の偽化粧品が販売されていた事例が確認されている。
医療機関の報告によれば、被害者の多くは若年女性や学生であり、SNSやライブ配信を通じて「正規輸入品」として偽化粧品を購入していた。
報告されている皮膚障害には、接触性皮膚炎、色素沈着、細菌感染などがあり、一部では重篤な後遺症が残るケースも確認されている。
これらの偽化粧品には、強力なコルチコイド、水銀、鉛、工業用漂白剤などの有害物質が含まれており、短期的な美白効果を謳いながらも、皮膚の萎縮、毛細血管の拡張、慢性的な炎症など深刻な健康被害を引き起こす。
医師らは、消費者に対して製品の真偽を見極めるための注意点を挙げている。
具体的には、パッケージの字体の乱れ、不自然な香り、成分表示の欠如、即効性を強調する広告などが挙げられる。
また、正規販売店や薬局での購入、医薬品管理局(DAV)の情報公開サイトでの製品登録番号の確認が推奨されている。
一方で、現行の化粧品管理体制には依然として課題が残されている。
現制度では、化粧品の輸入時に事前審査は行われず、企業が提出する申請書類のみに基づいて認可を行う「事後審査型」が採用されている。
さらに、国内での製造には許可が必要である一方、販売は自由業種として扱われており、規制が緩い状況にある。
こうした制度上の隙を突いて、悪質な業者が市場に氾濫しており、行政による監視体制の強化が急務となっている。
保健省は現在、新たな政令の策定を進めており、製造から販売、品質管理に至るまでを包括的に規定する方針を示している。
法的枠組みの整備と検査体制の強化を通じて、消費者の安全確保を図る動きが本格化する見通しである。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。