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クリスマス商戦に変化、時代は華美から「ほどよい体験」へ
<写真:baomoi.com>
ホーチミン市では年末の集客を狙い、カフェ各店が例年どおりクリスマス装飾に力を入れている。
しかし一方で、消費者の支出姿勢は慎重さを増しており、来店客数が伸びても売上が往年ほど伸長しないケースが目立つ。
装飾そのものよりも、体験の質と価格の妥当性が選択の基準となりつつある。
ホーチミン市内南部のあるカフェでは、9月から段階的に装飾を整え、季節限定メニューと組み合わせることで月次20~25%の安定した成長を維持してきた。
運営側はクリスマスを短期的な売上回収の場とは捉えず、ブランド認知を高める機会と位置づけている。
サービス品質を底上げすることが、結果としてリピート客の獲得につながるとの見方である。
これに対し、数百万円規模の投資で「雪景色」など大掛かりな演出を施した店舗では、来店数が前年を下回り、売上増も平常日比で15~20%にとどまる例がある。
景気の先行き不透明感に加え、中心部の立地や無料で楽しめる公共空間が選好される傾向が強まり、店舗間競争は一段と厳しくなっている。
公共空間の人気は顕著である。ライトアップされたサイゴン大教会やタンディン教会には、家族連れや若者が集まり、周辺では路上の写真撮影サービスが活況を呈している。
週末の一晩で40組以上を撮影するカメラマンもおり、口コミやSNSが需要を押し上げている。
スマートフォン撮影と簡易メイクを組み合わせた低価格パッケージなど、ニッチなサービスも増加した。
消費者意識にも変化がみられる。装飾の豪華さだけを理由に複数店舗を巡る動機は弱まり、価格に見合う飲食の質や家族で利用しやすい環境が重視されるようになった。
繁忙期であっても品質が低下すれば再訪はないという声が多い。
こうした動きを総合すると、市場は「開放的で低コスト、しかし雰囲気は十分」という“ほどよい体験”へと軸足を移している。
年末需要自体は堅調であるものの、華美な演出一辺倒では持続的な成長を望みにくい局面に入ったといえよう。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。