新型コロナウイルスと「社会的距離」|ファミリーメディカルプラクティス精神科医より

2020年04月01日(水)00時00分 公開
新型コロナウイルスと「社会的距離」|ファミリーメディカルプラクティス精神科医より

「社会的距離」とは、感染症などが広がった際に生じる感染予防策の一つで、人々はお互い距離を保とうとします。

現に、新型コロナウイルス感染が拡大する最中、こうした状況が見られます。

「社会的距離」は、感染が疑われる人の隔離や別離、行動の制限をして経過観察をすることや、感染者の隔離と異なります。

 

COVID-19の不明確で混乱した情報もあり、多くの人々が感染のリスクを恐れています。

これは自然な反応です。

世界各地で、行動の制限、休校、イベントの中止・延期、マスクや消毒液の常用などを行い、感染拡大防止に努めています。

自分自身や家族、親しい人の健康を心配するのは当たり前のことです。

自発的に社会的距離を保とうとするのは、自然な行動でしょう。

 

社会的距離は、感染症の急性期に、拡大を抑えるためにとられる措置です。

社会にとって大きな負担となり得る措置ですが、人々は、このような状況の際には、特別な対策を強いられることを理解し、皆、抵抗なく受け入れる傾向にあります。

しかし、長期化した場合、社会的距離の感染拡大防止の有効性ばかりに着目するのではなく、こういった状況に置かれた人々の肉体的、精神的負担にも目を向けなければなりません。

 

それぞれが、社会から距離を置いた状態で長期間過ごす中で、誰しもが自身や家族の健康に対して、また、休職を強いられる場合には、経済的に、懸念、不安、恐怖を抱きます。

この状況がこれからどのぐらい続くのだろうかという不安。
活動を制限され、友達にも会えず長時間家で過ごすことを強いられている、子供達の心身の健康の心配。
身体を動かすことの制限が、精神的にも影響を与え、うつ、失望感、繰り返す不安感や気分のムラなどにつながります。

 

子供や青年・若者達にとって、社会的なつながりは、精神衛生上非常に大切です。

社会から離れ、孤独感を感じることによって、気分の落ち込み、怠慢感、倦怠感に陥ることもあります。

運動すること、外で遊ぶことで、子供や青年達はストレスを解消し、心身の健康を健全に保つことができるのです。

定期的に運動することで、うつに陥るリスクが低くなります。

デジタル機器の長時間使用を避けることも、うつのリスク軽減につながります。

しかし、学校にも行けず、外遊びや運動も制限されている状況では、デジタル機器に頼らざるを得ない家庭がほとんどなのではないでしょうか。

 

このような、誰にとっても困難な状況の中で、感染防止だけに注力するのではなく、その他の影響も考慮して、バランスを取ることが大切なのではないかと思います。

24時間配信される限りないニュースや情報に惑わされて不安感を増すのを極力避け、信用できる確実な情報を得て判断することが大切です。

友人・知人と連絡を取り合い、孤独感を避けましょう。

自分の状況や経験、気持ちを共有し、お互いに支え合いましょう。

子供達にも同じようすることを勧め、サポートをしてあげましょう。

この時期は、子供達をより理解する良い機会ととらえていただけたらと思います。

家族全員がデジタル機器の使用を制限して、一緒に落ち着いた時間を過ごしましょう。

極力規則正しい生活を心がけ、できる範囲で活動し、食事にも気を使いましょう。

このような時にこそ、必要であれば周りを頼り、助けを得て、自分自身、家族を労っていただきたいと思います。

 

▸筆者紹介

ミゲル・セイシャス医師(精神科)は、英国精神科医会のメンバーで、うつ病や不安症、自傷行為、自殺願望、躁うつ病や強迫性障害、精神分裂病に悩む人達の治療にあたってきました。
当院で診療を開始する以前は、ケンブリッジ・臨床医科大学にて臨床指導教員、学部教員として勤めていました。

 

 

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