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アメリカ、ベトナムの為替操作を調査へ 最悪シナリオでは制裁関税も

2020年10月09日(金)15時36分 公開
アメリカ、ベトナムの為替操作を調査へ 最悪シナリオでは制裁関税も

<写真:Unsplash>


2日、米通商代表部(USTR)はベトナムの為替操作により対米貿易に悪影響を及ぼし、アメリカが不利になっている可能性があるとして調査をすることを発表した。

この調査で不公正と判断された場合、ベトナムから輸入する物品に追加関税をかける制裁措置を検討するとし、両国間の貿易摩擦が激化する恐れがあるという。

 

この調査は、大統領権限で外国の不公正な貿易慣行に一方的な制裁の発動を認めた「通商法301条」に基づいて行われる。

調査では、輸出を促進するために通貨安を誘導していないかどうかを財務省と協力して調べる方針で、違法に伐採された木材の対米輸出も調査対象になっている。

 

2日に開かれた記者会見で、ベトナム国家銀行(中央銀行)のレ・ミン・フン総裁は、アメリカからの調査でベトナムが「為替操作国」に認定される可能性があることについて、中央銀行は商取引や国際取引において不当な競争優位性を得る目的で為替レートなどの通貨政策を使用したことはなく、今後も使用する方針はないと述べた。

為替操作国とは、アメリカ財務省が提出する為替政策報告書に基づき、アメリカ議会が為替相場を不当操作していると認定した対象国のことで、年間の対米貿易黒字、国内総生産(GDP)に対する経常黒字比率、一方的かつ継続的な為替介入の3つの指標に基づいてこれらに該当する国や地域を「為替操作国」と指定している。

 

ベトナムは、12か月の調査期間のうち、6か月の間に為替介入がなかったことを証明できた場合、「為替操作国」に認定される危険性は軽減される。

そのため、中央銀行は外貨準備高を積み上げるための外貨買い入れを一時的に停止する可能性がある。

 

一方、同期間中にアメリカ側がベトナムの為替介入を認めた場合、ベトナムは「為替操作国」に認定され、追加関税をかける制裁措置が講じられる可能性がある。

米中貿易戦争の恩恵を受けているベトナムからすると最悪のシナリオだ。

 

強まる米中対立で、中国の代わりの調達先としてベトナム製品の輸入が急増していることに対して、トランプ政権は不満を抱えている。

アメリカの2019年のモノの対越貿易の赤字額は前年比40%増のおよそ560億ドルとなった。

そんな中、制裁として関税が引き上げられれば、アメリカが最大輸出国のベトナムにとっては大きな損失となる。

 

アメリカ財務省は、1月に発表した為替報告書でもベトナムを「監視リスト」に載せており、頻繁に当局の為替介入があり、通貨政策の透明性を高めるべきだと通貨安誘導をけん制していた。
 

 

 



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