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ロシア、ベトナムの約1160億円規模の発電所開発から撤退へ
〈写真:Saigon Times〉
ロシアの電力エンジニアリング会社であるPower Machines社は、米国の制裁措置により、ベトナムで10億ドル(約1160億円)規模の第1ロンフー火力発電所プロジェクトからの撤退を模索している。
8日、地元報道機関の取材によると、同プロジェクトの管理委員会リーダーは、ベトナム石油ガスグループ(PVN)がPower Machines社とのプロジェクトのEPC(設計・調達・建設)契約を打ち切ることを提案したという。
同委員会は、ロシアの請負業者が米国からの制裁の対象となっており、EPC契約を履行することが困難であると説明している。
メコンデルタ地方ソクチャン省ロンフー郡で開発が進められている同プロジェクトは、PVN傘下のPower Machines社とPetroVietnam Technical Services Corporation社の合弁会社がEPC請負業者を務めており、EPC契約金額は12億ドル(約1390億円)である。
2014年に締結されたEPC契約によると、同プラントの第1蒸気タービンは2018年10月に、第2蒸気タービンは2019年2月に運転開始する予定となっていたが、2018年、ロシアによるクリミア併合に伴い、Power Machines社は米国の制裁を受けることとなった。この時点で、同火力発電所の建設進捗は約72%であった。
同プロジェクトの管理委員会リーダーによると、Power Machines社が制裁に直面した後、ロシアの請負業者がEPC契約の履行に苦戦し、進捗77.56%の段階でプロジェクトが中断されている。
2019年2月、Power Machines社は「不可抗力的な理由」でEPC契約を中断したが、ベトナムの投資家は同社に対する米国の制裁を「不可抗力的な理由」として受け入れなかった。
2019年9月、同社はシンガポールの国際仲裁センターで投資家とPetroVietnam Technical Services Corporation社を提訴した。同社は損失ゼロでプロジェクトから撤退することを希望し、ベトナム側に同社が費やした全費用を補償するよう求めていた。
しかし、交渉のさなかにロシア・ウクライナ危機が発生し、ロシアの複数の銀行がSWIFT国際決済システムから外され、銀行システム経由の取引が制限されることになった。
同プロジェクトの管理委員会によると、双方がPower Machines社に対する補償を打ち出しても、支払いは行えない状況である。また、同プロジェクト責任者のNguyen Doan Toan氏
は、損失を最小限に抑え、これまでのEPC業務を活用するために、新しいEPC業者の早期選定とプロジェクトの再開を提案している。
これまでベトナム側は、このプロジェクトに約5億7000万ドル(約660億円)を投資している。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。