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「福耳になりたくて」整形手術でトラブル続出 ホーチミン市
〈写真:VnExpress〉
ホーチミン市では、「福耳」にする整形手術により、耳に異常をきたすトラブルが相次いでいる。
長い間、多くの悩みを抱えていたホーチミン市在住のHさん(24)は、彼の運気を変えたいと言う考えから、「仏陀の耳(福耳)」 を形成しようと耳たぶへフィラー(充填剤)を注入し、耳たぶが壊死を起こす事態となった。
ベトナムの民間信仰によると、「福耳」とは、耳が厚く、耳たぶが大きく、長いことを意味する。福耳の人は、「福が多い」「長生きする」「出世運がある」「幸運に恵まれる」と言われており、運気を変えたいという願いから、整形手術に頼って大きな耳を作る人も少なくない。
Hさんは100万ドン(約5000円)以上するフィラー(充填剤)を買い、自宅で自分の耳に左右0.4mlほど注射をした。注射後、痛みがあり、耳が詰まった感じがしたという。翌日、フィラーの溶解液を注射し、抗生物質と抗炎症剤を自己投与した。しかし、3日目には状態が悪化し、傷口が開き、耳にもあざができたため、ホーチミン市皮膚科病院を受診した。
医師は、患者の耳たぶに塞栓症、壊死性潰瘍があると判断し、炎症と壊死が徐々に改善されるまで1週間以上の治療を要すると診断した。
Hさんは、「運勢に何も変化はないが、フィラーを注射したせいで時間とお金がかかった。唯一幸せなことは、耳が元の状態に戻ること。」と話している。
別のケースでは、Dさん(27)は仕事のために「福耳」になろうした。彼は芸術関係の職に従事しており、難しい踊りをするために大きくて厚い耳たぶを要求されるという。
彼は、ローカルクリニックで耳たぶに未知の物質を注射された。しばらくして、耳たぶの色が不均一になったため、溶解液を注入したが、元の耳には戻せなかった。病院で診察を受けると、耳たぶに炎症性の肉芽組織が多数あり、シリコンによる疑いが高いと診断された。外科医は、炎症を起こした肉芽組織を取り除き、耳たぶの再建手術を行なった。
福耳の整形手術は、近年多くのスパやエステティックサロンで宣伝されている。ビンタイン区の化粧品施設では、「300万ドン未満で歴史上の偉人の様な福耳を形成し、富と幸運を掴むことができる」と宣伝している。同施設のスタッフは、「人類学に基づき、厚くて太い耳たぶは、豊かで金持ちになる運命にあり、人生に幸運をもたらし、ビジネスや商売を円滑にし、繁栄させることができる。」と説明している。
ホーチミン市皮膚科病院皮膚美容科のPham Thi Thanh Giang医師によると、同病院では「福耳」のための美容フィラー注入による合併症の患者を受け入れることがあるが、その原因は、注入方法の間違い・失敗、フィラーの品質が悪いことなどが多い。耳には細い毛細血管が多いため、出血しやすく、あざができやすい。フィラーを注入しすぎたり、間違えて血管に注入してしまうと、血管が詰まって固くなり、耳が壊死してしまう危険性がある。
同医師によると、フィラー注入は、即効性があり、ダウンタイムもないということで、多くの人が施術を受けている。しかし、Pham Ngoc Thach医科大学形成外科のTran Nguyen Giap医師によると、フィラー注入は簡易な処置に見えるが、無菌の徹底、正確な位置への注入、適正な注入量など厳しい条件があり、間違った施術は、組織の圧縮、耳の壊死を引き起こすため、資格のある医師以外の施術は認められない。
美容整形医によると、耳たぶを大きくするには、フィラー注入と自家脂肪移植の2つの方法がある。人気のフィラーはヒアルロン酸で、1〜2年は「福耳」をキープできる。脂肪移植は耳たぶに自家脂肪を注入する方法で、3年以上「福耳」を保つことができるが、2〜3回移植する必要があり、より高い技術的安全性が要求される。
「福耳」注入手術の費用は、使用するフィラーの種類によって異なるが、約600万~1000万ドン(約3万〜5万円)である。施術後、痛み、皮膚の変色、あざなどの異常がある場合は、適時に病院へ行き、治療を受ける必要がある。
ケロイドが耳の部分に発生すると、治療が非常に困難になるため、ケロイド痕のある人は耳たぶへの施術は控えるべきだとされている。
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