ベトナム、高級ブランド各社が進出 新たな高級品市場として台頭
〈写真：VnExpress〉
高級ブランド各社は、中産階級の増加と堅調な経済成長から利益を得ようとベトナムでのプレゼンスを拡大している。
イタリアの高級車ブランドであるランボルギーニは、1年間の活動休止を経て4月から同国市場への復帰を発表し、新たな販売代理店としてS&Sオートモーティブを指名した。
ロールスロイスやマクラーレンなど他の高級車ブランドの販売代理店でもあるS&Sオートモーティブは、ランボルギーニの新しいショールームをホーチミン市1区に建設中で、今四半期にオープンする予定である。
ポルシェ・センター・サイゴンが2021年にホーチミン市7区にオープンし、ポルシェ社は同店舗に関して、「アジア太平洋地域で最も急速に成長している市場の1つにおける重要なマイルストーンである」としている。
同社は同年、東南アジアで2番目のポルシェスタジオをハノイ市に開設しており、ポルシェ・アジア太平洋のアーサー・ウィルマンCEOによると、首都の活気ある若者人口がこの店舗のインスピレーションとなっている。
同氏は、ロールロイスのアジア太平洋地域担当ディレクターであるポール・ハリス氏が以前述べた、「ベトナムは同社の市場の中で最も若い人口構成である」という発言と同様のことを述べている。
プレステージファッションブランドも活発で、イタリアのブルガリは昨年2月にホーチミン市に再出店、ルイ・ヴィトンとクリスチャン・ディオールは2020年にハノイの中心街ホアンキエムに旗艦店をオープンさせた。
ドイツのポータルサイトStatistaのデータによると、2022年の同国の高級品市場は、昨年比35.7％増の9億1200万ドル（約1130億円）に急増し、2年間のパンデミックを経て力強い回復を遂げるとされている。
今後5年間は毎年3.3%ずつ拡大し、2025年には10億ドル（約1238億円）の大台を超えるという。Statistaは、最大の高級品セグメントは、ファッション、革製品、化粧品と香水だと予測している。
ルイ・ヴィトンとクリスチャン・ディオールのハノイ店を担当した不動産コンサルタント会社Savills Vietnamのマシュー・パウエル氏によると、ベトナムの小売市場はこの地域で最も活気があり、シンガポールや香港など他のアジアの都市と比較して賃料が安いため、多くの高級ブランドが進出やプレゼンスの拡大を希望している。また、一人当たりの所得が上昇し、中産階級が拡大していることも要因の1つである。
ベトナムは、力強い経済成長により、中産階級が急速に拡大している国として注目を浴びている。
英国のデータ分析企業のWorld Data Labによると、2030年までに5600万人の中産階級を抱えるベトナムは、中産階級の人口が最も多い経済国30の世界ランキングで、現在の26位から8位躍進する見込みである。
英国の不動産コンサルタント会社ナイトフランクの報告書によると、同国で3000万ドル（約37億円）以上を所有する超富裕層の数は2026年には1551人に達し、2021年から26%増加する可能性がある。
また、同社は、主要な住居を含めて100万ドル（約1億2400万円）以上の純資産を持つ富裕層の数は、2026年には2021年から59％急増し、11万4807人になると予測している。
ナイトフランクベトナムの最高責任者であるアレックス・クレイン氏によると、ベトナムでは2021年〜2026年にかけて超富裕層が香港や台湾と同等に増加すると予想されており、その先の未来まで継続的に成長する可能性が予測されている。
また、同社はベトナムの富裕層が時計、車、ワインを多く購入していることも指摘している。
同国の時計の輸入は、2016年〜2020年にかけて毎年28.2％増加した。自動車販売とワイン輸入は、パンデミック前の2016年〜2019年にかけて12.9％と9.8％の一貫した成長を維持していた。
ベトナムのGDP成長率は2022年は6.5％、2023年は6.7％と東南アジアで最も高い成長率を達成すると予想されており、高級ブランドの成長の可能性は依然として明るいと言える。
Duy Anh Fashion and Cosmetics社は、昨年の最終四半期に前年同期比171%の成長を記録した。
同社は昨年、Tiffany & CoとMontblancの2つのファッションブランドをベトナムに進出させ、それぞれハノイ市とホーチミン市に最初の店舗をオープンさせた。
また、1月には靴とアクセサリーのブランドであるクリスチャン・ルブタンをホーチミン市に進出させ、同市1区に1号店をオープンさせた。
ベトナムで高級ファッションブランドを流通させるGlobalLinkの創業者兼社長であるTran Thi Hoai Anh氏は、2019年開催のイベント「The Business of Fashion」で、ハノイ市とホーチミン市では高級品に対する欲求がこれまで以上に顕著になっていると語っている。
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