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中国のダムの影響でメコン川流量に異変、数ヶ月後に干ばつの懸念も

2022年05月19日(木)09時46分 公開
中国のダムの影響でメコン川流量に異変、数ヶ月後に干ばつの懸念も

<写真:VN Express>

 

4年連続で流量が少なかったメコン川が、2022年の最初の4ヶ月で記録的な水量を記録した。

 

メコン川委員会(MRC)によると、2021年11月〜2022年4月まで、メコン川下流域(LMB)は平年より雨が多く、流域全体で平均より25%多い降雨量となった。

 

LMBで2番目に上流にあるタイのチェンセン観測所で観測された水位は、3月2日の1.84メートルから5月11日には3.25メートルまで上昇した。

 

後者の数値は2021年までの60年平均より低いが、2019〜21年の干ばつ期より顕著に高い。

 

ラオスの首都ビエンチャンの観測所では、水位が60年平均を上回ることさえあった。

 

MRCによると、カンボジアではStung TrengからKompong Chamのモニタリングステーションまでの区間の水位が0.66〜2.22メートル上昇し、昨年から約1.5メートル増加した。

 

ベトナム国家水文気象予報センター(NCHMF)は4月末、メコン川が海に達するメコンデルタで平年より15〜20%多い水量を観測しており、5月と6月には昨年より20〜30%高い水位になる見込みである。

 

MRCによると、水位が高くなった原因は降雨量の増加だけでなく、中国が上流のダムから常時よりも多くの水を放出した結果である。

 

中国が現時点で大量の放水を行っているため、LMBは7月から水不足に直面する可能性がある。

 

デルタ地帯のカントー市に拠点を置く独立系コンサルタントによると、中国がダムの水を乾期に放出しているため、毎年7月〜9月に発生しているメコンデルタの洪水がほとんど、あるいはまったく起きない可能性が高い。

 

LMB地域は、何世代にもわたって、播種(はしゅ)前の畑作りの一環を毎年の洪水に頼ってきた。

 

通常、洪水は7月下旬〜8月上旬に始まり、11月以降まで続き、上流から運ばれてくるシルト(沈泥)によって、この地域は非常に肥沃になる。

 

しかし、近年、上流のダムや気候の変化により、この習慣が変わってきている。

 

海外やベトナムの専門家によると、ダムによって、本来なら洪水期に下流に移動するはずの土砂や魚が減少している。

 

メコン川では3年前から雨季に極端な低流量と干ばつに見舞われ、漁業や農業の生産性が大きく損なわれている。

 

スティムソン・センターの東南アジアプログラムディレクター兼メコンダムモニター共同責任者のBrian Eyler氏は、2月に開催されたオンライン会議で、低流量と干ばつの原因のほとんどは降雨不足であるが、上流のダムも大量の水を貯蔵して雨季の干ばつを助長していると指摘した。

 

中国がメコン川沿いに建設したダムは129基あり、メコン川の水の56%が中国に貯水されている。

 

MRCの数値によると、流域全体の水位は、1961年〜2021年まで記録された60年間の平均値、および2008年〜2017年までの直近の10年間の健全な水流を大きく下回る状態が続いている。

 

MRC事務局のアヌラック・キティクーンCEOは4月、第1回「メコンの現状演説」で、気候変動、干ばつ、水インフラ事業が東南アジアに「前例のない挑戦」をもたらしていると警告した。

 

湿地は消滅し、栄養となる土砂は減少し、塩分濃度の上昇により稲作に大きな被害を与えている。

 

MRCによると、2021年の雨季は7月〜10月までと例年より1カ月短縮され、6月にはほとんど雨が降らなかったため、水の補給確保が非常に重要である。

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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