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生活水準に満たない年金、退職後貧困層の実態

2022年06月10日(金)13時32分 公開
生活水準に満たない年金、退職後貧困層の実態

〈写真:VnExpress〉

 

ベトナムの退職者は、毎月の年金が生活費を大きく下回っており、生活を維持するために働き続けなければならない。

 

ホーチミン市タンフー区に住むランさん(65)は2012年、26年間社会保険を払い続けた後に退職し、翌年には夫のチャウさん(65)が20年間社会保険を納めた後、退職した。

 

現行法では、退職時に年金を受け取るためには20年間社会保険を納めなければならない。以前、定年年齢は女性55歳、男性60歳と規定されていたが、昨年からベトナムは定年退職年齢を徐々に引き上げ、2035年までに女性は60歳、2028年までに男性は62歳となる予定である。

 

すべての条件を満たすと、現役時代の社会保険料を計算するために使われていた月給の75%の退職年金を受け取ることができる。

 

現在、ランさんは毎月180万ドン(約1万415円)の年金を受け取っている。

 

ランさんによると、彼女がフンハウ農業JSCで働いていた頃、自分や他の労働者にとって、社会保険料のベースとなる給与水準を知ることは「簡単なことではなかった」と話す。

 

年金額の決定を受けたとき、あまりの低さにショックを受けたという。

 

夫チャウさんの年金はさらに低い。20年働き、規定より4年早い56歳で退職した。そのため、年金額は給与のわずか55%、月130万ドン(約7520円)で支給されることになった。

 

その後、政府は退職年金の引き上げを決定し、現在ではランさんは280万ドン(約1万6200円)、チャウさんは210万ドン(約1万2150円)の年金を受け取っている。

 

ベトナムでは、都市部に住み、月収が200万ドン(約1万1570円)を下回る人は貧困層とみなされる。ホーチミン市の貧困ラインは380万ドン(約2万1990円)である。

 

ランさん夫妻は退職者で毎月の年金があるため、貧困者向けの援助政策を受給することはできない。

 

退職して以来、チャウさんは商店の警備員として働き、ランさんはフンハウ農業JSCでパートタイムの仕事を見つけたが、同市で新型コロナウイルスが流行した際、2人とも職を失い、現在まで無職の状態が続いている。

 

光熱費から医療費まで、日々の支出はすべて490万ドン(約2万8350円)の年金に頼っている状態である。

 

同市6区に住むファイさん(56)は、2017年に6区公共サービス株式会社の衛生作業員を退職した。21年間社会保険を払い続けたため、月340万ドン(約1万9670円)の退職年金がある。

 

ファイさんの息子はまだ学生で、ファイさん夫婦は家計のやりくりに困難な状況であり、ファイさんはバイクタクシーの運転手として、妻は廃品回収業で家計を支える。

 

同市社会保障局のデータによると、ファイさん、ランさん、チャウさんは、同市の貧困ラインを下回る月額の年金を受け取っている4万5000人以上の人々の1人である。

 

同局のファン・ヴァン・メン局長によると、同市では22万2000人以上が退職年金を受け取っており、その月平均額は約600万ドン(約3万4720円)となっている。退職者が毎月1億2400万ドン(約71万7510円)以上受け取るケースもあれば、毎月100万ドン(約5790円)以下しか受け取れない人もいるという。

 

年金が高いか低いかは、社会保険を支払った期間と、社会保険料を支払う際の基準となる給与水準による。

 

多くの場合、低い退職年金を受け取るのは工場労働者である。

 

法律では従業員が3分の1、雇用主が3分の2の保険料を負担することになっているため、多くの企業が「法律をかいくぐり」支給額を減らしている。

 

従業員は雇用主が報酬を基本給と手当に分けることに同意しているか、あるいは気にしていないため、低い金額が社会保険料の基礎になってしまっている。

 

ベトナム労働連合のマイ・ドゥック・チン前副会長によると、年金額が低いのは社会保険料を計算する際に、最低賃金を給与のベースとして使用した結果であり、雇用主は従業員の実際の収入に基づいて保険料を支払うよう要求されるべきだと指摘する。

 

国連人口基金の社会保障専門家であるグエン・ゴック・クイン氏は、低額でも年金を受け取っている退職者は、他の社会支援制度を利用できないため、この制度を是正する必要があると指摘する。

 

同氏によると、国は毎月の社会給付を受けるグループを、都市部では月200万ドン(約1万1570円)、農村部では月150万ドン(約8680円)という貧困レベル以下の年金を受け取っている人々に拡大する必要がある。

 

フィンランドやスウェーデンなど一部の国では、退職者が基金に貢献したという原則に従って、社会保険基金からも年金が支給されており、最低生活水準を下回る年金を受け取っている人々には、国家予算をもとに社会年金基金からの追加額が提供される。

 

ベトナムでこの様な政策を実施するためには、年金制度と社会保険基金が互いに補完し合い、相互接続を保つ必要がある。

 

また、低所得者への正確な給付を保証するために、同期的な社会保障データベースの構築が不可欠である。

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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