ベトナム人男性の29%がセクハラを経験
<写真:VN Express>
チャビン省在住の男性トゥアンさん(24)は7年前に男性教師によって密室に引きずり込まれ、強姦された時のことを今でも鮮明に覚えているという。
彼は抵抗しようとしたが強姦魔の力に勝つことは出来なかった。その日以来、この恐ろしい出来事を忘れようと努力を続けている。
ハノイ市在住のミンさん(34)は初めての性体験に由来する恐怖体験を忘れることができない。当時20歳前後であったミンさんは故郷から同市に移住してきたばかりであった。
ある女性と数ヶ月に渡ってデートをした後に誘われてモーテルで初めての性行為を行った。ミンさんは「初めての経験だったので、怖くてパニックになった」と振り返る。
その後、ミンさんは女性との連絡を断ったが女性からのメールや脅迫電話が続き、最終的にはミンさんの友人や知人を辿って居場所を突き止められたという。
2カ月近くストーカー行為と精神的拷問が続いた後、ミンさんは女性と決別することが出来た。
トゥアンさんやミンさんのようなセクハラ被害者の男性は決して珍しい存在ではない。
アムステルダム応用科学大学のグエン・フオン・マイ博士が32カ国の学生を対象にした調査によると、男子学生の2.4%、女子学生の1.8%が過去に強姦されたと回答しており、女性よりも男性の方が性的な攻撃を受ける確率が高くなっている。
非営利団体Stop Street Harassmentによる2018年の調査では、米国では女性の81%、男性の43%が生涯で何らかのセクハラや暴行を経験したと報告している。
オーストラリア統計局(ABS)の発表では18歳以上の男性の4人に1人が生涯にセクハラを経験したと推定されている。
貧困や不正に取り組むNPO「アクションエイド」が2018年にベトナムで行った調査とハノイ市の公立高等教育機関「ベトナム女性アカデミー」がハイフォン市とホーチミン市の繊維会社4社で行った調査では、労働者の53%以上が職場でセクハラを経験し、うち23%が男性であることが明らかになった。
地元報道機関の男性読者800人以上を対象にした調査では29%がセクハラを1〜2回経験し、26%が頻繁に経験していると回答した。
作家でジャーナリストのホアン・アイン・トゥー氏は大多数の人が「男性がセクハラを受ける危険はない」と間違った認識を持っていると指摘する。
マイ博士によると、社会的なステレオタイプから男性は常に性欲を持っていて自分の身体は武器であると思い込んでいる人が多いため、誰かに掴まれてもハラスメントを受けていると訴えることができないという。
セクハラを受けた男性が女性と同じような心理的トラウマに苦しんでいることに気づいている人は少ない。
トゥアンさんは学生の性的虐待やレイプ事件を耳にするたびに自分の過去がフラッシュバックしたり、状況によってはパニックに陥るという。ミンさんも同様にトラウマを解消出来ずにいる。
ジャーナリストのトゥー氏によると、家族が男性にセクハラの危険性を教えるべきであり、セクハラの被害者が男性である場合にも法律で加害者を罰するべきである。
マイ博士は文明的なベトナム人の世代を作るために学校で性教育を行うべきだと指摘している。
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