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パンデミック時の特別便汚職、賄賂約10億円の全容

2023年04月07日(金)11時41分 公開
パンデミック時の特別便汚職、賄賂約10億円の全容

<写真:VnExpress>

 

新型コロナウイルス流行時に運行された特別便の許可を巡る汚職事件の捜査が完了し、最終的に職員21人が100以上の企業から計1700億ドン(約9億5472万円)を収賄したことが明らかになった。

 

2020年3月に中国で新型コロナウイルスの流行が深刻化した際、ベトナムは武漢市から帰国が不可能となった30人のベトナム人に向けた特別便を組織した。その後、ベトナム政府は同様の状態に陥ったベトナム人を対象に、航空運賃の負担のみで乗船可能なフライトを許可し、帰国後は軍管轄の検疫所を2週間無料で提供していた。

 

しかし、軍管轄の検疫所は次第に過密状態になり、政府は航空券と検疫費用の両方を支払うことが可能な乗客を対象に、保健省が許可したホテルやリゾートへの滞在を許可する「コンボフライト」の計画を承認した。

 

コンボフライトの組織は外務省と保健省、運輸省、公安省、国防省、在外ベトナム公館、省・市の人民委員会に割り当てられ、コンボフライトの運航を希望する企業は最初に検疫中の滞在先として登録した省または市の人民委員会に申請する必要があった。

 

現地当局の承認を得た企業は承認後の書類を外務省領事部に送り、外務省は5省庁の同意が得られた後に、政府機関を通じて書類を政府指導部へ提出し、最終的な承認を得ることになっていた。

 

コンボフライトの運航を企画した多くは旅行会社や普段から在外ベトナム人に向けた帰国支援を行う企業で、これらの全企業が複雑な承認手順を踏まなければならなかった。

 

2020年初頭〜2021年半ばに掛けて、62の国・地域から20万人以上のベトナム人を対象とした特別便1000便以上が組織され、外務省はこのうち救助便400便、コンボ便372便の計772便の編成認可を求めていた。

 

公安省傘下の調査保安庁によると、一部の関係者が複雑な手続きを利用して不正行為に手を染め、フライトを組織する企業は利益確保のために航空券価格を上げ、確保した利益で役人に贈賄した。

 

ハノイ市のチュー・スアン・ユン前議長は旅行会社から20億ドン(約1123万円)を収賄し、帰国便を組織する16社を承認する66の文書に署名し、クアンナム省のチャン・バン・タイン元副議長は1社から50億ドン(約2808万円)の賄賂を受け取っている。

 

捜査保安局は1年以上の調査期間を経て4月3日に帰国便編成の汚職に関与したとして、賄賂授受と賄賂仲介、賄賂受領、財産不正流用、公務遂行中の地位・権限乱用の疑いで調査中の54人を公表した。

 

帰国便編成の中で最も重要な機関であり、フライトのアドバイスやライセンスを任されていた外務省が最も汚職に関与しており、職員13人が賄賂受領と権限乱用で捜査を受けている。同省の一部職員は団体を結成して企業に嫌がらせを行い、支払いを強要していたという。

 

同省のグエン・ティ・フオン・ラン領事部部長は捜査当局に対して「上司が推薦した企業や賄賂を支払った企業しか承認しなかった」と汚職を認めており、実際に賄賂を支払わなかった企業は帰国便手配が困難な状況に直面した。

 

また、日本やアンゴラではベトナム人大使・総領事が企業に対して帰国便手配から得た利益の分配・賄賂を要求していた。

 

一連の汚職で外務省職員13人は計817億6000万ドン(約4億5916万円)、トゥ・アイン・ユン前副大臣は215億ドン(約1億2074万円)、ヴー・ホン・ナム前副大臣は18億ドン(約1011万円)、駐日ベトナム総領事のグエン・ホン・ハ氏は20億ドン(約1123万円)、同省のグエン・ティ・フオン・ラン領事部長は250億ドン(約1億4040万円)を収賄したとされる。

 

また、政府機関の職員4人が帰国便承認のために企業から146億ドン(約8199万円)を収賄したことも判明している。ファム・ビン・ミン元副首相の補佐官であるグエン・クアン・リン氏は帰国便26便を承認するために42億ドン(約2359万円)を受け取っていた。

 

この他には公安省傘下の入国管理局職員3人が442億ドン(約2億4823万円)相当を収賄したと告発されており、チャン・ヴァン・ユー前副局長が76億ドン(約4268万円)、ヴー・アイン・トゥアン前副官が273億ドン(約1億5332万円)、ヴー・シー・クオン職員が93億ドン(約5223万円)を受け取っている。

 

保健省は新型コロナウイルスの状況に応じて、フライトの頻度と数に関する外務省の提案を承認または拒否する権限を擁していた。

 

同省副大臣の秘書であるファム・チュン・キエン氏は企業に対して、コンボフライトに少なくとも5000万ドン(約28万円)、乗客1人に付き50万ドン〜200万ドン(約2810〜1万1230円)を支払う様に要求し、関係者19人から251回に渡って426億ドン(約2億3924万円)を収賄した。

 

また、運輸省で国際協力部専門家として勤務していたゴー・クアン・トゥアン氏が17億ドン(約955万円)の賄賂を受け取り、ベトナム民間航空局運輸部のヴー・ホン・クアン元副部長は19億ドン(約1067万円)の賄賂を受け取っている。

 

賄賂が蔓延った結果として、パンデミック時に帰国便を利用した帰国者は、非常に高価な航空券を購入せざるを得ない状況となっていた。

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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