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義理の息子による娘殺害、義父が涙で減刑を嘆願
<写真:cand.com.vn>
ホーチミン市で14日、娘を殺害した娘婿に対して義父が減刑を嘆願する異例の裁判が行われた。被告のグエン・ホン・ミン(34)は殺人罪に問われ、最終的に懲役20年の刑を宣告された。義父の訴えとその背景が法廷を涙で包むこととなった。
事件は2024年1月3日、ミン被告と妻レーさんとの家庭内トラブルから発生した。2013年に結婚して1人の男児をもうけた夫妻は、ホーチミン市7区の借家で暮らしていたが、離婚話を巡る口論がエスカレートし、悲劇的な結末を迎えた。
事件当日、キッチンでの話し合いの中で、レーさんは「離婚の書類は整っている。法廷でサインをしたら家を出て行く」と告げた。これに対してミン被告は激しく拒否の意思を示した。
その場にいた義父のチュンさん(70)が「どうしたいの?」と問いかけると、ミン被告は突然レーさんの首を絞め始めた。チュンさんが止めに入るも、ミン被告はレーさんを押し倒し、近くに落ちていた包丁を手に取って何度も刺した。
義父母が必死に止めるも力及ばず、レーさんは搬送中に息を引き取った。ミン被告も自らの行為で負傷し、病院で手当を受けた後に逮捕された。
法廷でミン被告は自身の罪を全面的に認めた上で、事件の背景を説明した。ミン被告はコンテナトラックの運転手として家計を支えていた。
しかし、レーさんは自身の職場で知り合った中国人医師と不適切な関係を持ち、子どもを置いて数ヶ月もの間にわたって家を出ていったことが精神的な追い詰めにつながったという。
ミン被告は「事件当日は感情を抑えられず、取り返しのつかない行動をしてしまった」と涙ながらに語った。
義父のチュンさんはミン被告の証言を裏付ける形で「娘には非があった」と述べ、同被告の減刑を求めた。
チュンさんは「どのみち娘は戻らない。重刑を科しても無意味だ。むしろ彼が刑期を終えた後、孫の面倒を見てほしい」と、高齢で孫を育てる負担を訴えた。
検察はミン被告の行動が計画的ではないものの極めて残忍であり、夫婦間のトラブルを理由に殺人を正当化することはできないとして終身刑を求刑した。
一方で弁護側は、ミン被告が深く反省していることや被害者側の不貞行為がトラブルの原因となったこと、遺族に対する補償が行われたことを理由に減刑を訴えた。
裁判所は最終的に被害者側の行動がトラブルを引き起こした一因であることや、ミン被告の情状を考慮し、懲役20年の判決を下した。
検察が求めた終身刑は退けられたが、犯行の重大性を鑑みた重い判決となった。
判決後、チュンさんがミン被告に歩み寄り、孫の教育のために同被告の古いスマートフォンのパスワードを尋ねる場面があった。この光景に多くの傍聴者が涙を浮かべた。
チュンさんは「ミンは穏やかな性格で娘にも非があった。だからこそ、彼を憎む気にはなれない」と語り、孫の未来を第一に考える姿勢を示した。
この裁判は義父母と被告家族が互いの痛みを共有し、孫の未来のために共に歩む姿勢を見せた点で、社会に深い感慨を与えるものとなった。
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