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ベトナムの月餅市場に異変、若者の新トレンドで売上急増

<写真:baomoi.com>
ベトナムでは中秋節を前に、従来の焼き菓子タイプの月餅「バインヌン(bánh nướng)」に代わり、「バインゼオ(bánh dẻo)」の人気が急上昇している。
若年層を中心に「冷やして平たくし、カットして食べる」という新しいスタイルがSNS上で注目を集めたことが要因となり、販売数が急増しているという。
ハノイ市で菓子工房を営む女性によれば、例年は焼き菓子タイプが売上の中心であったが、2025年は塩漬け卵黄入りの蓮の実餡やミルクカスタード餡といったバインゼオの需要が高まり、売上は前年比で2倍に達したという。
1日あたり500〜700個をハノイ市やホーチミン市などに出荷しており、一部では入荷待ちの状態が続いている。
ホーチミン市でも同様の傾向が見られる。タンフン街区にある食品店では、1箱に100〜200個詰められたバインザイが即座に売り切れる状況である。
価格は1個あたり12万5000〜33万ドン(約700〜1850円)と高価格帯にもかかわらず、需要が集中している。
このブームの背景には、SNSを通じて広まった新しい食べ方の存在がある。
従来のように大きく切ってお茶と共に味わうのではなく、冷蔵庫で冷やした後に平たく押し、小さくカットして食べることで、塩漬け卵黄と餡の風味がより調和し、甘さが控えめで新鮮な味わいになるとされている。
大手食品メーカーもこの新潮流を追い風としている。
KIDOグループによれば、2025年のバインゼオ生産量が前年の2倍に達し、中秋節前半の時点で生産目標の90%を達成したという。
抹茶チーズやブルーベリーチーズといった新フレーバーの売れ行きも好調である。
オリオン・ヴィナ社もまた、価格帯30万〜50万ドン(約1680〜2800円)の商品を中心に展開し、緑豆ともち米の餡、抹茶と小豆の餡などの新たなバリエーションを試験的に導入している。
一方、すべての消費者がこのブームに満足しているわけではない。
ホーチミン市在住の女性は「約60万ドン(約3360円)で2個購入したが、味の違いは塩漬け卵黄が均一に広がっている程度。以前のような甘ったるさがない点は良い」と語っており、賛否の声も見られる。
市場の過熱とともに、食品の安全性に対する懸念も高まっている。
ホーチミン市食品安全管理局のファム・カイン・フォン・ラン局長は「家庭製造品が市場に出回っているが、原材料の表示や衛生証明がないものについては取り締まりの対象となる」と警告している。
また、国家市場監督局も9月中旬にクアンニン省において、出所不明の月餅360個と菓子124個を押収しており、ランソン省では違法輸入が疑われる餡420kgが摘発された。
当局は消費者に対し、認可されたブランドや正規の販売店から、ラベルおよび食品安全証明が付された製品を購入するように呼びかけている。
SNS上の流行が市場を活性化させる一方で、品質管理と安全性の確保が改めて問われている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。