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ベトナムの仮想通貨市場、日次取引額6億ドル超に成長

<写真:vtv.vn>
米ブロックチェーン分析企業Chainalysisの報告によれば、ベトナムにおける仮想通貨のオンチェーン取引額は、2024年7月から2025年6月の1年間で約2200〜2300億ドル(約33兆1100億〜34兆6100億円)に達し、1日平均で6億ドル(約902億9400万円)を超える規模となった。
これはアジア太平洋地域(APAC)においてインド、韓国に次ぐ第3位に相当し、地域全体の約10%を占めている。
オンチェーン取引とは、ブロックチェーン上に記録されるすべてのトランザクションを指し、送金やスマートコントラクトの実行、ウォレット残高の変動などが改ざん不可能な形で記録されるものである。
報告によると、ベトナムにおける仮想通貨取引の増加率は前年同期比で55%と堅調な伸びを示しているが、インドネシア、日本、韓国などで見られる3桁成長には及ばなかった。
一方で、仮想通貨がすでに広く社会に浸透し、送金、ゲーム、貯蓄といった日常の金融活動に活用されている「成熟市場」であることを示すものと分析されている。
実際、2024年のTriple-Aによる調査では、ベトナム国民の20%以上が仮想通貨を保有しており、Chainalysisが発表するグローバル普及指数においても、ベトナムは常に上位にランクされている。
こうした状況を背景に、ベトナム政府は2025年6月に「デジタル産業法」を成立させ、2026年1月からの施行を予定している。
同法では、仮想通貨が初めて民法上の「資産」として明確に位置づけられ、仮想通貨の発行、取引市場の構築、サービス提供などを対象とした5年間のパイロットプログラムの実施が盛り込まれた。
加えて、ホーチミン市およびダナン市では、国際金融センターの設立と並行して「サンドボックス」環境の整備も進められる見通しである。
しかしながら、市場の急拡大の裏では、法制度の未整備を突いた「仮想通貨の闇市場」が深刻な問題となっている。
公安省サイバー犯罪対策局によれば、仮想通貨の匿名性と国境を越えた送金の容易さが悪用され、大規模な非公式取引が横行しており、マネーロンダリングや違法送金の温床となるリスクが高まっていると警告している。
同局は、USDTなどを用いた数十万人規模の匿名グループによる大口取引が確認されているとし、これが税逃れや経済の不透明化、さらには国家安全保障への脅威となり得ると指摘している。
こうした状況を受け、今後は規制整備の強化、監視体制の拡充、そして国内取引所への資産移行の義務化などが提案されている。
一方で、ベトナムブロックチェーン・デジタル資産協会のファン・ドゥク・チュン会長は、仮想通貨について「利点とリスクを併せ持つ存在」であると述べ、法制度の整備によって健全かつ秩序ある市場を育成する必要性を強調している。
今後の法制度および試験運用制度が、持続可能な仮想通貨市場の形成に向けた基盤となるとの認識を示した。
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