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観光大国を目指すベトナム、成長の陰に残る「ぼったくり」
<写真:hanoimoi.vn>
観光業における国際的な評価が高まりを見せる一方で、ベトナムでは「ぼったくり」や接客マナーの問題が依然として存在し、観光産業の持続的な成長を阻害する要因となっている。
ベトナムは、世界的な旅行賞「World Travel Awards」において2025年も「アジアを代表する観光地」および「遺産観光地」として高い評価を受け、ハノイ、ホーチミン、ホイアンなどの主要都市も複数の部門で受賞を果たした。
2024年の訪越外国人観光客数は1760万人に達し、新型コロナウイルス流行前の水準に近づきつつあり、2025年には2500万人の受け入れを目標として掲げている。
しかしながら、観光地における不当な料金請求や不適切な接客対応は根深く残存している。
2025年9月には、ハノイ旧市街においてオーストラリア人観光客が人力車(シクロ)を利用した際、通常料金の6倍にあたる120万ドン(約7030円)を請求された事例が報告された。
過去にも、短距離の移動に対して100万ドン(約5860円)を超える料金を支払わされた外国人観光客の例が複数確認されている。
こうした問題は料金設定だけにとどまらず、接客態度の面にも及ぶ。
観光ガイドや国内旅行者からは「商品を手に取っただけで怒鳴られた」「朝一番の客で購入しなかったことで罵声を浴びた」といった証言が寄せられており、観光体験の質を大きく損なう要因となっている。
文化観光の専門家によると、観光文化とは、旅行者・事業者・地域社会の全関係者による適切な振る舞いの集合体である。
しかし、ベトナムでは観光地における衛生状態の不備、偽の物乞いによる迷惑行為、苦情への対応不足など、観光環境全体における多面的な課題が残る。
観光当局もこれらの問題を「業界全体の信用を損なう深刻な課題」と位置づけており、法令順守の徹底、悪質業者への厳罰、サービス従事者への教育強化などの対応策が求められている。
観光産業の質的転換には、インフラ整備に加えて、観光サービスの提供者および利用者双方による行動変容が必要である。
ある観光ガイドによれば、短期的な利益を追求する「ぼったくり」行為では業界全体の信頼は築けない。
持続可能な観光には、環境保護のみならず、適正価格と敬意あるサービスが前提条件となる。
ベトナムの観光産業が真に国際競争力を高めるためには、「文化を売る国」としての自覚を持ち、業界全体が行動変容を果たすことが急務である。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。