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デング熱の成人患者が急増、全年齢層で感染が拡大
<写真:moh.gov.vn>
ベトナムにおけるデング熱の感染状況が複雑化し、これまで主に小児の疾患とされてきた同病が、成人層にも急速に拡大している。
専門家は感染者の全年齢化および重症化の傾向に強い警鐘を鳴らしている。
11月29日に「2025年全国デング熱科学会議」が開催された。
ホーチミン市パスツール研究所のグエン・ヴー・チュン所長は、ベトナムが東南アジア地域におけるデング熱の「ホットスポット」と化している現状を指摘した。
同年1月から10月にかけての全国感染者数は11万500人、死者は23人に達し、前年同期比で感染者数は約17%、死者数は2人増加した。
感染者の年齢分布にも顕著な変化が見られている。
中央衛生疫学研究所のグー・ズイ・ギア医師によれば、1999年時点では15歳以上の感染者が全体の18%にとどまっていたのに対し、2022年には53%にまで増加したという。
かつては南部地域に集中していた流行も、現在では全国に拡大し、季節性を持たず一年を通じて流行が見られるようになっている。
デング熱は出血、体液漏出、凝固障害、多臓器不全、ショックなどの重篤な合併症を引き起こすことがあり、回復後も倦怠感、関節痛、記憶力低下などの後遺症が残る例も報告されている。
武田ベトナムのベンジャミン・ピン社長は、社会の疾患に対する認識は改善されつつあるものの、その深刻さや経済的負担への理解は依然として不十分であると警鐘を鳴らした。
重症患者が集中治療を受けた場合、2週間の治療費は1億5000万〜2億ドン(約88〜118万円)に及ぶとされ、入院中の収入減や学業の中断など、家族全体に大きな影響を及ぼす。
現時点で有効な特効薬は存在せず、世界保健機関(WHO)は、感染を媒介する蚊の駆除、厳格な疫学的監視、ワクチン接種を組み合わせた包括的な対策を推奨している。
グエン・スィン・ナム教授は、ベトナムにおいても従来の受動的な対応から、予防を重視した能動的な戦略への転換が急務であると述べた。
同会議には、国内外から700人以上の専門家が参加し、持続可能な感染症対策の構築を目指して活発な議論が行われた。
今後は、市民を中心に据えた実践的かつ参加型の施策の導入が、新たな感染症対策の柱として期待されている。
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